ちゅらっぷすの成沢理恵です。スマートフォン(スマホ)ゲームなどの運営を主眼とするゲームサービス事業のマイネット代表の上原仁氏との語り合いも今回が最終回です。今回はいよいよマイネットが積極的に行っているスマホゲームの買収や協業についてのお話をお聞きしたいと思います。

上原氏と著者(右)
上原氏と著者(右)
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2017年だけで既に7タイトルを取得

 マイネットは他社のゲームを買収したり、共同事業契約を結んだりして運営を引き継ぐゲームサービス事業を営んでいます。直近では5月10日にシリコンスタジオから「刻のイシュタリア」「逆襲のファンタジカ」の2タイトルを買収しています。2017年だけでもこのほかに、スクウェア・エニックスの「ミリオンアーサー エクスタシス」やセガゲームスの「戦の海賊」「モンスターギア バーサス」「ボーダーブレイク mobile -疾風のガンフロント-」「夢色キャスト」など4タイトルの配信権や運営権を取得したり、共同事業契約を結んだりしています。

 マイネットが現在、運営しているタイトルの中には私自身が少し関わったものもあります。NubeeTokyoが開発・運営をしていた「神界のヴァルキリー」です。このタイトルがマイネットに譲渡された2015年12月当時、私はこの会社のプロデューサー兼事業部長でした。マイネットがその直後の2016年に、人気ソシャゲタイトルを多数手がけるクルーズのゲーム事業を買収して業界で大きな話題になったこともあり、とても印象に残っています。

 「神界のヴァルキリー」のときもそうでしたが、マイネットによるタイトルの買収では、開発・運営メンバーも同時に合流することがあります。タイトルを支えてきたメンバーが一番コンテンツのことをわかっていて、そのコンテンツのことが好きでユーザーのことも理解しているからです。

 タイトルとメンバーを一緒に合流させる方針自体はタイトルの価値の維持や発展を考えると正しい選択だと思う一方で、様々な企業のメンバーがマイネットに入ってくることの弊害はないのでしょうか? 同じゲーム企業といえども、会社によって文化や考え方は異なります。これだけ多くのタイトルを買収して一緒に1つの会社になるのはとても大変なのではないかと心配になります。

上原氏「買収後のPMI(Post Merger Integration ※M&Aにおけるチーム合流のための活動)は、本当に1社1社全く異なります。毎回がアートと言ってよいと思っています。私は正直に言うとゲーム作りにはあまり自信がないのですが、会社作りは大好きで、少しは得意だと自負しています。持てる知識や経験を総動員した命懸けで会社という『アート』を日々作っているのです。