ちゅらっぷすの成沢理恵です。前回に引き続き、スマートフォン(スマホ)ゲームなどの運営を主眼とするゲームサービス事業のマイネット代表の上原仁氏とソシャゲの秘密に語りたいと思います。

上原氏と右が著者
上原氏と右が著者
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 前回はマイネットの成り立ちや「ゲームサービス事業」そのものについて話しました。昨年業界で大きな話題となったマイネットによるゲーム会社のM&Aやタイトル買収について、上原氏本人から意図や狙い、裏側など様々な角度からお話を聞きたいと思います。

37タイトルを並行に運営し、PDCAを同時に回す

 私も日々、スマホゲームの開発を行っておりますが、苦労するのがユーザーを集めること。ユーザーにゲームを知ってもらい、興味を持ってもらい、実際にダウンロードしてもらって、遊んでもらうプロセスです。面白いゲームを作っても、知らなければ意味がありません。スマホゲームに携わる各社はどこもユーザー集めに悩んでいます。プロモーションを打つにしても莫大なお金がかかるからです。

 このユーザーを集めるという部分で有効な手段と認識されているのが、IP(知的財産権、ゲームビジネスの文脈では著名なキャラクターなどの版権を指す)の活用です。IPにそもそものファンがいるので、知ってもらって、興味を持ってもらいやすい。しかしながら、 強力なIPほど他社のライバルタイトルも多く、また当然ですが利用にはIPのライセンス費用もかかります。

 マイネットが営むゲームサービス事業は、ゲームを自社でイチから開発するのではなく、他社がリリース済みのタイトルを仕入れて運営を引き継ぎバリューアップさせるモデルです。仕入れ対象のゲームタイトルはリリース済ですから、ほとんどの場合、一定数のユーザーを抱えた状況で仕入れるわけですよね。最初からユーザーがいるのはゲームサービス事業のメリットの1つと言えますか?

上原氏「おっしゃる通りですね。おかげ様でタイトル数も増え、現状37タイトルを運営しております。データという意味ですと、37のクラスターを貯めることが出来て、その中でPDCAを回すことが出来る。一つの施策があったら、一度に37のPDCAを回せるということになりますね。これは大きな強みです」。