こんにちは。逆張り人生早50有余年の森川幸人です。

 人が右が良いと言えば左を行きたくなる。人がリッチをめざせば、ますますプアーにしたくなる。やり応え!がセールスなら、やらなくてもいい!もセールスだろう?と思ってしまう。

 と、我ながら、よくまーこんな逆張り人生で、ここまで生きてこれたなーと不思議に思う誕生日間際のあたくしですが、昨今の「ディープラーニング(深層学習、多層構造のニューラルネットワークを使った機械学習)が全て」みたいなAI(人工知能)のブームについてもやはり逆張り魂がうずくのでありました。

「枯れた技術の水平思考」ってご存じですよね?

 「枯れた技術の水平思考」は、故横井軍平(外部リンク:Wikipedia)さんの有名な言葉です。横井軍平さんは任天堂で、「ウルトラハンド」から始まり、「ラブテスター」や「光線銃」、さらには「ゲーム&ウオッチ」や「ゲームボーイ」など数々の大ヒットオモチャを開発し、任天堂を世界的な大ゲーム企業に押し上げた人物です。いわばゲーム業界自体を作った恩人といってよい偉大な人物で、ゲーム業界でこの人やこの言葉を知らないのはモグリです。

 なので、日経テクノロジーオンラインの読者なら当然ご存じかと思いますが、「枯れた技術の水平思考」に込められた意味をざっくり説明すると、

おもちゃなんてのは、最先端の技術なんかで作らんでよろしい。すでに世の中に出回っている、あるいは廃れている技術を再利用するんでよろしい。「最先端の技術使ってます」でうっとりしてしまってはダメ。また、枯れた技術をそのまんま使うんじゃなく、縦の物を横にして使う(水平に使う)工夫をしたほうがよろしい。

といったところでしょうか。

[画像のクリックで拡大表示]

 今、多くの人にとって普通になっている「ちょっとした空き時間に(電子)ゲームを楽しむ」という習慣も実は横井さんが作った「ゲーム&ウオッチ」から始まりました。そのゲーム&ウオッチはまさに、当時すっかり成熟していた電卓に使われていたモノクロ液晶やマイコン、ボタンといった「枯れた技術の水平思考」によって生み出されました。