吉岡直人です。僕の職業はプログラマーです。ゲームや、その他のソフトウエアを作ることが仕事です。本格的には1990年にソニーに就職して以降ですから27年目になります。最初にプログラムらしきものを作ったのが中学生の頃ですからそこから数えたら35年くらいやっていることになります。と、自分で数えてみてちょっとびっくりしました。

仕事で高校生にプログラミングを教えています(写真はイメージ)
仕事で高校生にプログラミングを教えています(写真はイメージ)
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 本業はソフトウエア開発ですが、専門学校でゲーム業界を目指す人たちにプログラミングを教える仕事もしています。その中に「高等部」というのがあって、つまり高等学校です。そこにいる高校生にもプログラミングやコンピュータについて教えています。今回はこの高等部でプログラミングを教える中で気付いた話を書いてみたいと思います。

運動も歌も楽器も苦手だったのでプログラマーになれた

 今のところ、プログラミングはみんなができる状態にはありません。主な理由は学校のカリキュラムに組み込まれていないためでしょう。学校でのプログラミング教育が始まるようですから、今後何年かすれば状況は変わるかもしれませんが、今のところ、特殊技能の一つと考えてよさそうです。とはいえ、例えば100mを9秒台で走るとか、そういった類の「超」がつくような特殊性はありません。もし、そんなに特殊な技能だったとしたら、こんなに大量のコンピュータにあふれた現代社会が回るはずがないですよね。だって、全てのコンピュータに何らかのソフトウエアが組み込まれているのですから。ソフトウエアの実体はプログラムとデータですから誰かがプログラムを書いたはずです。基本的に、練習さえすればほとんどの人ができるようになる技能でなければこんなことが実現できるはずがありません。

 最初に書いたとおり僕自身は中学生の頃にプログラミングを始めました。ほとんど独学でした。同じ学級に1人プログラミングができる同級生がいたので、最初は彼を質問攻めにしたのを覚えています。そのうち、自分で本を読んで学ぶことを覚えてそこからはほとんど1人です。紙に書いたコードやパソコン雑誌に載っていたコードなどを電気屋さんのパソコンに打ち込んで、動いたの、動かなかったのと遊んでいました。高校時代はジャンク屋で買ってきた部品で自作のコンピュータを作ってそのプログラムを組んだりして遊んでいました。大学では、アルバイトで色々なプログラムを書いて生活費の足しにしていました。