ちゅらっぷすの成沢理恵です。このコラムではゲームプロデューサーの私が業界の様々なプロと対談しながらソーシャルゲーム(ソシャゲ)の秘密に迫ります。前回に引き続き、他社が開発したソシャゲの運営を引き継ぐというユニークなビジネス「ゲームサービス事業」で躍進中のマイネット代表の上原 仁氏のお話を聞きます。

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 ゲーム運営の重要性が意識され始めたのはゲーム会社の事業にとってソシャゲの比重が増したからです。それまでのコンシュマーゲームは売るまでがゴールでした。なぜなら、当時のコンシューマは量販店で売った後のゲームにダウンロードなどで手を加えないし、できなかったからです。ところが、ソシャゲは売り始めてからがスタート。お客さんが遊び始めて、お客さんの様子を見ながら、様々な軌道修正をしたり、面白いコンテンツを運営しながら作っていったりするため、運営が重要になるのです。私の前所属であるスクウェア・エニックスでも運営は重要視していました。

ホテルに泊まるはゴールではない、得た体験が大事

 前回出たホテルに例えると、せっかく高級ホテルに行って、実際泊まってみたけどサービスが良くないとガッカリな気持ちで帰ってしまう。「高級ホテルに泊まる」はゴールではないのです。お客さんにとっては、期待をした高級ホテルのおもてなしが受けられたかが大事。ホテルでどんな体験をしたかが評価の対象になります。

 ソシャゲの隆盛により、ゲーム業界全体としても、運営の重要性への認識は強くなったと思います。私がプロデュースさせていただいた「おそ松さんのへそくりウォーズ」も最近、1周年を迎えました。1年間ユーザーに遊んでもらうには良好な運営無くしては成り立たず、サービスや運営の重要性は高いと、身に染みて感じています。IP(有力なキャラクター版権)やブランドが無くても、個人が作ったタイトルですごく流行っているものもあります。会社としてブランド力が弱くても、おもてなしで頑張ってきて多大な信頼とユーザーの喜びがたくさん生まれているタイトルもたくさん知っています。そういう姿を見ると、スマホゲームやソシャゲではサービスや運営がやはり重要と感じざるを得ません。