ちゅらっぷすの成沢理恵です。今回も、カジュアルゲームをメインにゲーム企画開発・運用を行う2Dファンタジスタ代表の渡辺雅央氏をゲストにお招きして、ソーシャルゲーム(ソシャゲ)の秘密を語り合いたいと思います。今回のテーマは「広告」。前回は「IP(版権)」やタップゲームについて語り合いましたが(関連記事:成沢理恵~2Dファンタジスタ渡辺代表が語る「タップ」の気持ちよさ)、実は渡辺さん率いる2Dファンタジスタは、広告収益をメインとしたカジュアルゲームの名手としても業界では著名なのです。

2Dファンタジスタ代表の渡辺雅央氏(左)と私
2Dファンタジスタ代表の渡辺雅央氏(左)と私
[画像のクリックで拡大表示]

 2Dファンタジスタが今まで作ってきた主なタイトルは、いわゆる「アイテム課金」がない、広告収益のみのゲームが中心です。アイテム課金がビジネスの主軸である国内のソシャゲ業界においては珍しいディベロッパーだと思います。

 国内では、アプリ内課金でアイテムなどを販売するのが圧倒的な主流です。例外は個人のアプリ開発者で、広告収益を主軸とするゲームが多い。なぜかというと課金をゲーム内で実施するにはそれに伴うシステム構築や、課金を可能にするゲーム内の仕組みが必要で開発負荷が高くなるからです。個人の開発者にはちょっと荷が重いのです。

 とはいえ、日本以外に目を向けると少し状況が異なります。例えば米国では、広告収益だけで展開するタイトルが結構あります。そういったタイトルはダウンロード(DL)数も数百万~1000万超と大きなオーダーで、収益もそれなりの規模感が得られているようです。

手っ取り早く始められる広告収益モデルからやろうよ

 2Dファンタジスタのように、広告収益モデルを会社として突き詰めている会社は国内ではあまり多くないはずです。なぜこの領域に着目したのですか?

渡辺氏「取っ掛かりは大きく2点です。まずは課金をしっかりやるだけのノウハウが無かったこと。2つ目は、課金をやると必要になるメンテナンスに対応するリソースが、5人という少人数の会社には無かったこと。この2点から、手っ取り早く始められる広告収益モデルからやろうよ という話になりました。また広告だと、ユーザーにはお金払ってる意識がないのに、ディベロッパーにとっては収益となるわけです。ひょっとするとお互いにとって良いすみ分けができるのでは?と感じたので広告を入れてみたのが始まりですね。