ちゅらっぷすの成沢理恵です。前回に引き続き、スマホゲーム用のVR向けチャットエンジンなどを手掛けるモノビットの本城 嘉太郎社長に、「AR(拡張現実)」と「VR(仮想現実)」でモバイルゲームの世界がどう変わっていくかを語り合います。前回はAR技術を使った世界的な大ヒットゲーム「ポケモンGO」がゲーム業界に与えたインパクトを語り合いました(関連記事:成沢理恵~モノビット本城社長と語り合う「ポケモンGO」の功罪)。今回はゲーム業界でも今まさに大注目で、本城社長の専門領域でもあるVRにフォーカスしましょう。

写真●今回の対談相手は前回に引き続き、モノビットの本城 嘉太郎社長(右)
写真●今回の対談相手は前回に引き続き、モノビットの本城 嘉太郎社長(右)
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VRが注目されているのは「技術的に簡単」だから。ARの方がずっと難しい

 前回のポケモンGOは「AR」を使ったゲームでしたが、今回はVR。言葉が似ているだけにARとVRが混乱している人もいると思うんです。ゲーム開発に携わっている人ならまだしも、特に一般のユーザーにはまだ十分理解されてないように思います。

本城「VRとARは、完全に視界を覆うかどうかで分かれます。VRは全ての視界を覆ってしまって楽しむ体験です。体験中は現実世界と途絶されます。一方のARは、現実の風景にCGなどの画像を重ね合わせ、そこに実際には無いモノをまるで存在するかのように感じる体験となります」

 端末が本格的に登場して視聴環境が整うのに合わせて、私の周囲でもVRコンテンツの開発に着手する会社が増えてきました。

本城「ゲーム業界では今年は『VR元年』と言ってますね。2016年9月に幕張メッセで開催された『東京ゲームショウ2016』でも、初めて大規模なVRタイトルの特設会場が設けられました。プレイステーション4用のVRHMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)『PlayStation VR(PS VR)』も予約開始から数十分で完売と大人気です。単に業界が盛り上がっているだけでなく、ユーザーの期待も高まっているように思います」。

 本城さんのモノビットも今年は、米オキュラスのVRHMD「Oculus Rift」やVRコントローラー「OculusTouch」に対応した対戦戦艦ゲームのデモを公表したり、複数人参加型コンテンツの「Linked-door loves Space Channel 5」をKDDIと共同で手掛けたりするなど、VRに積極的な姿勢が目立ちます。今、VRが注目されている理由をどう分析されていますか?

写真●モノビットが開発したVR対戦戦艦ゲームのデモ。米オキュラスのVRHMD「Oculus Rift」やVRコントローラー「OculusTouch」に対応した
写真●モノビットが開発したVR対戦戦艦ゲームのデモ。米オキュラスのVRHMD「Oculus Rift」やVRコントローラー「OculusTouch」に対応した
(出所:モノビット)
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本城「ARに比べてVRが注目されている理由は、VR端末が出そろってきた、という理由もありますが、端的に言うと『技術的に簡単だから』だとも思います。VRは視界を覆うディスプレイと頭の向きや傾きを検知できるセンサーがあれば出来てしまいます。あとは頭の角度に合わせてCGを画面に映し出せばVRの体験となる。ARに比べると実現が簡単なんです」。