ムゲンコンボの手塚武です。この連載では「ソーシャルゲーム(ソシャゲ)の秘密をゲーム企画や開発の観点からいろいろ語っていきたいと思います。一般向けにやさしく話していくつもりですので、お気軽にお付き合いください。

ポケモンGOは「ポケモン」というよく知られたIPのおかげで認知度が究極的に高まり、配信当初から多くの人を巻き込んで大成功した
ポケモンGOは「ポケモン」というよく知られたIPのおかげで認知度が究極的に高まり、配信当初から多くの人を巻き込んで大成功した
国内配信直後の7月24日、都内の公園にて撮影

 それにしても「Pokémon GO(ポケモンGO)」すさまじい人気ですね。様々な社会現象も起こすブームとなっていますので少なくとも一度はプレーした方が多いのではないでしょうか? 僕自身もポケモンGOにはそれなりにハマっておりまして、子どもと楽しく遊ばせてもらっています。

 ポケモンGO自体の分析や感想、影響についても既にいくつも優れた分析が出回っています。本連載でも世永さんが2回に分けて詳細な解説記事を書かれています(関連記事1:世永玲生~ポケモンGOはなぜ受けた?ゲームデザイナーの眼で見たヒットのカラクリ、関連記事2:世永玲生~ポケモンGOはなぜ儲かる?ゲームデザイナーの眼で見た課金のカラクリ)。

 そこで僕の方は今回、このゲームを題材に「IP」付きのゲームの成功要件について書いてみたいと思います。IPはIntellectual Property=知的財産という意味ですが、ゲーム業界などでは、著名なキャラクターの利用権、版権といった意味で主に使われます。

 ご存知の方が多いと思いますがポケモンGOは任天堂のゲームではありません。米グーグルからスピンアウトした米ナイアンティックという会社が開発、配信をしています。

 ナイアンティックはポケモンGO以前に、「Ingress(イングレス)」という位置情報を使ったゲームをリリースしており、今回のポケモンGOはイングレスにポケモンの皮を被せたようなゲームだと言う人もいたりします。実際のところは全く別のゲームですが、位置情報を使ったシステムの占める要素が大きいという意味では言いたいことは分かります。

 ナイアンティックは米国の会社ですからまずは北米を中心とする英語圏からリリースされ、日本はなかなかスタートしませんでした。「日本は任天堂のお膝元なのに!」とイライラした人も多かったのではないでしょうか?