世永玲生です。米ナイアンティックのスマホゲーム「Pokemon GO(ポケモンGO)」(写真1)。先週、ついに国内配信が始まり、さっそく日本でも大人気になっています。
ポケモンGOのヒットの物凄さは以下のような事実でも明らかです。
- 1日の「課金者数」が他の全てのモバイルゲームを抜く
- 任天堂の時価総額が7営業日に2倍になる(その後下がりましたが…)
- 1日あたりユーザー数で「Twitter」を抜く
- 1回の滞在時間で「Facebook」を抜く
- 翌日継続率が7割を超える
- 日本のApp Store売り上げランキング1位を半日で達成
僕が他のサイトに書いた攻略記事が、あっと言う間に500万PVに到達したとか、僕が住んでいる郊外の駅前マクドナルド(ナイアンティックと提携して店舗が「ポケストップ」になっている)の前に、100人近いトレーナーが集結していたとか、肌身にひしひしと社会的ムーブメントと呼ぶに相応しい熱狂を感じています。
「乗るしかない、このビッグウェーブに!」ということで、ゲームデザイナー兼コンサルタントの視点で、ポケモンGOがなぜこれほどヒットしたのか、なぜ売り上げナンバーワンが取れたのか、今日と明日の2回に分けてそのカラクリを探ってみます。今回はまず、ヒットに込められたカラクリを探ります。
ポケモンGOとはなんなのか?
ポケモンGOの基になったゲーム「ポケットモンスター(ポケモン)」は任天堂の携帯ゲーム機用のゲームです。架空のフィールドで「ポケモン」と呼ばれるかわいらしい怪獣を捕まえて育て、進化させてより強いポケモンにするという内容でした。この「収集」「育成」「進化」はソーシャルゲーム(ソシャゲ)でもお馴染みのデザインです。ソシャゲでは「ドラゴンコレクション」(ドラコレ、グリー)が最初に採用し、「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ、ガンホー・オンライン・エンターテインメント)なども使う今やソシャゲを構成する最重要要素となっています。
この「収集」「育成」「進化」を中心に据えた設計のゲームの元祖と言えるのが1996年に発売されたポケモンでした。
ポケモンGOでは、オリジナルのポケモンのような画面の中の架空の地図ではなく、実際に街を歩きまわらないとポケモンを捕まえられません。またゲームとしては、ポケモンを捕まえる「収集」に中心を置いた設計で、「育成」「進化」部分は今のところ、比較的シンプルな設計となっています(写真2)。