携帯電話機やパソコンに限らず、各種センサーや家電機器などのさまざまな機器が通信機能を持ち、インターネットに接続する世界を目指し、昨今、「Internet of Things(IoT)」との名で、あらゆるモノをネットワークにつなげる技術、サービス、ビジネスの検討が進められています。

 例えば、ガス/電気/水道メーター/車両に付けたセンサーなどをネットワークにつなげることで、人手を用いることなく検針したり(スマートメーター)、車の利用状況や位置情報を自動的/リアルタイムに管理したりするサービスがIoTの利用例として挙げられます。

多様な要求条件を持つIoT

 IoTと一言でいっても、“モノ”としては非常に多様な機器を対象としていますので、IoTの中でもサービス、ビジネスの対象領域や求められる技術への要求条件が大きく異なります。

 例えば、通信技術に求められる要求条件だけでも、通信速度(スループット)観点では、スマートメーターの場合、ガス/電気/水道の毎月の消費量といった非常に少量のデータが対象となるのに対し、監視カメラの場合、撮影した動画データをクラウドでの処理や遠隔地での監視のために、大容量のデータ通信を考慮する必要があります。また、他の観点では、スマートメーターや農業用センサーの場合、電池交換なしに長期間稼動が想定されるため、低消費電力化を目指す必要がありますし、車両の場合、移動速度への追従性を考慮する必要があります。

 今回のコラムでは、このように多様な要求条件を持つIoTの中から、スマートメーターやセンサーを対象とした低速、小電力の無線通信方式について3GPPの検討状況を解説したいと思います。