長い間、更新できずにいました。3GPPではほぼ毎月会議を行い、世界各国の技術者と喧々諤々(けんけんごうごう)の技術議論を続け5G標準仕様化に取り組んでいました。そしてついに先週の3GPP会合において初版の5G標準仕様の完了を宣言することができました。

5G標準仕様完了を祝って撮影された写真
5G標準仕様完了を祝って撮影された写真

 今回のコラムでは、最後の大詰め作業における現場の様子や、仕様完了をご報告いたします。

標準化会合数、参加者数、ドキュメント数の増加

 「3GPPの歴史上、担当者にとっては最悪の年」――これは私の友人である海外企業の標準化担当者が、今年私に話しかけてきたコメントでした。

 私のグループでは、ここ数年年間6回程度の会合スケジュールを設定し、会合の間を1カ月から2カ月程度と適度に空けて各社が十分に検討する期間を設けていました。 今年は、5G標準化の山場であったことに加え、2017年5月の前回コラムで記載した標準化前倒しスケジュールの合意によって必要とされる会合数が増え、年間9回の会合が開催されました。

 各社標準化担当者は、議場で議論が行われていない時間においても廊下や議場の外で1日中、どの技術が優れているか、提案内容の長所短所を見極めつつ、自社の主張を標準仕様に盛り込む交渉も交えながら議論交渉を進めています。

 議長陣は、多量に上がってくる技術提案内容を精査しながら提案内容を見極め、妥結点を見出すとともに、議場での議論が終わった後は提案内容の振り返り、計画の見直しを進めています。

議長陣の写真
議長陣の写真
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 2016年2月の本コラムでは、近年の標準化会合におけるドキュメント数、参加者数の増加を述べましたが、10カ月たってさらにその数は増加を続けており、最近では1グループにおける1週間のドキュメント数が3000、参加者数は600近い数に達しています。こうした状況などが冒頭の友人コメントにもつながったわけですが、そうはいっても皆さん、5Gという新たな世代技術の一部を築くべく、さまざまな思いをもって駆け抜けた1年ではなかったかと感じています。