スマートフォンやタブレット端末の普及、高精細動画サービスにみられる大容量コンテンツの利用拡大などのネットワークトラフィックの増大に対処するため、国内外問わず携帯電話事業者による様々な対策が計画検討されています。

 高密度に基地局を配置する方法は、こうしたトラフィックの増大に対処するための1つの方法として挙げられており、高トラフィックエリアにおいて、エリア半径の比較的小さい基地局/送信ポイントを数多く配置することが検討されています。

 例えば、現在のLTEネットワークでは都市部を中心とした人口密集地域において高密度に基地局を配置する展開や、屋内外のホットスポットエリアでエリア半径の比較的小さい基地局/送信ポイントの展開が進んでいます。

 標準化の場では、このような比較的小さい通信可能エリアを総称して「スモールセル」と呼んでおり、スモールセルを効率的に活用するためのさまざまな技術が検討されています。

 今回のコラムでは、スモールセルを活用する標準化技術動向をお伝えできればと思います。

スモールセルの特徴

 標準化の場で議論されている「スモールセル」とは、一般的に以下のような特徴をもったエリアということができます。

  • (1)半径数百メートルより小さい通信可能エリア(従来のマクロセル基地局の場合、1つの基地局がカバーするエリアは半径数百メートルから十キロメートル程度)
  • (2)エリアが小さいことから、接続する端末数が比較的少ない
  • (3)基地局/送信ポイントから反射/回折することなく直接電波(直接波)が届きやすく、受信品質が比較的高い
  • (4)スモールセル基地局/送信ポイントを隙間なく配置するような高密度化を行うほど、隣接するセル間の干渉が増大する危険性がある

 上記の特徴を鑑み、これまでにスモールセルを考慮した複数の技術の標準化検討が行われています。