開発原理
目次
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背面教師
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #18
寂しい気もするが、最近、親の会社を継ぐ息子や娘が少ないとのことである。そして、その理由を聞くともっと寂しくなるのである。なんと、夜遅くまで働き、身を粉にして働く親の背中を見るにつけ、あんなことは自分にはできないと、諦めというのか自信がないのか、とにかく自分からギブアップ、降参してしまうらしい。それが…
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プチ・アマノジャク
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #17
天邪鬼(あまのじゃく)というのは昔話に出てくる悪者のことで、人に逆らい、邪魔をする困った人、あるいは、へそ曲がりやひねくれ者のことを言う。どちらかと言えば悪いイメージではあるが、開発において、私はこの天邪鬼的な要素というか資質というか、そのような役割もある程度は必要であると思っている。つまり、少し天…
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届かぬところを掴め
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #16
よく、痒い(かゆい)ところに手が届くようにと言う。細かな点まで行き届くようにした方がいいということだが、開発も同じこと。まさに、顧客の痒いところに手が届かなくてはいけないのである。しかし、あまりに細かいところまで対応するのも大変だし、そうかと言って大雑把にすると叱られる。そこのところの塩梅(あんばい…
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切られても切るな
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #15
人のご縁は難しい。こちらがよしと思っても、むこうが嫌なら仕方ない。いくら良かれと動いても、その人の意に添わなければ嫌われる。ときに、片想いのように尽くしても、相手にとってはこちらの勝手な都合。そんなもの、お前の好きでやっているのだから関係ないと取り付く島がない。開発を進めるとき、当たり前だが相手がい…
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毎日が一張羅
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #14
一張羅(いっちょうら)とは、その人が持っている衣服の中で最もよいものだ。中には、他に持っていなくて、たった一つでも一張羅と言う人もいるが、今回の話ではそのケースは無しとする。さて、開発においても一張羅はとても大事なことであり、原理原則とも言えるのだ。
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立ち位置
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #13
正式には「立ち位置」という言葉はないようだが、私はよく使うのである。私の言う立ち位置とは、その人や会社の「立場」が、事業を進める時に他人や他社と位置的もしくは力学的にどうあるべきかという意味である。時には利益が絡むこともあり、特に開発においての立ち位置は、大変に重要であると思うのだ。私は、この立ち位…
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原価不明
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #12
一体、いつ頃からコスト重視と言うようになったのだろうか。私の印象では、少なくとも今から三十年くらい前、クライアントも今のように中堅中小から大企業まで広くお付き合いができるようになったあの頃は、あまり聞かなかったことである。それが今では、何かをしようというと、まず先に「コスト優先・相見積もり」と言うの…
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バツがよい
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #11
バツイチと言うことがある。×一と書くこともあり、離婚歴のことを言うのであるが、今度の某国大統領などはバツイチどころかバツニだそうな。また、ばつが悪いと言うこともある。この場合、都合や調子、或いはつじつまが合わないことで、きまりやおさまりが悪くなったことを言う。いずれにしても、あまりよい意味ではないが…
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責任の所在
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #10
若いころ、私が提案した開発案件が上手くいかなかったら、一体、どうやって責任を取るのかと聞かれたことがある。最初は何を言われているのか分からなかったが、上から目線の物言いで、まるで私を部下のように扱う態度だったので、おそらく開発の責任は私にあり、上手くいかなかったらその責任は私にあると言いたいのだと理…
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四次元の開発
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #09
この世は三次元で構成されている。一次元とは座標で表される長さだけの線で、二次元はその長さと幅の広がりである平面。そして、三次元はそこにもう一つの次元が加わって空間というのである。この一次、二次、三次といったものの見方は産業構造を表すことにも使われていて、一次産業とは農業・林業・水産業といった直接自然…
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囲うな開けよ
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #08
「囲い込み」とよく言う。元々の意味は、15世紀~19世紀前半頃、イギリスの大地主による共有地の私的所有化があちこちで起こったそうで、そのことを言うらしい。それが現代、特に産業界では、顧客を自社の事業に都合の良いように仕向けること、というような意味になっている。言いかたとして多いのは「客を囲い込む」だ…
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比類なきこと
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #07
開発という行為は、今まではなかった新しい事業や新しい商品を創ることである。既存事業や商品を改善したり、改良したりしただけなのに開発という人もいるが、それは違う。本当の開発とは、全く新しいモノやコトを創造するのである。それなのに、どこかで新しい事業や商品が出現すると、一斉に同じようなモノやコトが雨後の…
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「今まで」より「これから」
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #06
悪いことではないが、社歴が長ければながいほど良いと考える人は多い。確かに、社歴が長いということは、それだけしっかりと経営をしてきたことだし、多くの艱難辛苦(かんなんしんく)を乗り越えて来た証でもある。それを否定する気もないし疎んずる気もない。申し上げたいのは、社歴が長いとか古いというただそれだけで、…
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何でもアリ
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #05
開発を進めるとき、ドメイン(事業領域)を外すなと言う人がいる。確かに、今まで何とかやってきた事業だから、そこを外すということは、未知の世界に出ていくようなもので、どんなリスクや困難が待ち受けているか分からないと思うのだろう。まして、不測の事態に対応する体制ができていないという、拭い切れない不安がある…
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人のスジと事業のスジ
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #04
物事にはスジがあると思う。そして、スジを外すととんでもないことになる。時には取り返しのつかない事件に巻き込まれたり、一生悔やむことになったりするのだから、スジに要注意なのである。話のスジが違うとか、スジを通せとか、案外、私たちは無意識のうちにスジ論を交わしているのだが、特に、人のスジと事業のスジには…
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数と価値は違う
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #03
よく数が欲しいと言う。要するに売り上げは多いほどいいと言うのである。しかし、本当に売り上げが多ければ多いほど会社は良くなるのであろうか。しかも、その売り上げを上げるのが開発の目的だとしたら、安かろう悪かろうでも何でもかんでも、売ってしまえばいいと言うのと同じである。
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覚悟を決めろ
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #02
あろうことか、開発を始めるときに特段の想いも信念もなく、何となく始める、あるいは始まってしまうことがある。それは、短距離走でのスタートラインに立ったアスリートが、神に祈るかのように自らの気持ちを鎮めて集中し、「ヨーイドン」の号砲で疾走することと対極の行為である。まるで遊んでいるかのように、ダラダラと…
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プロローグ
“開発の達人”が説く! 守るべき掟 #01
コラム「リアル言えない大事」は、お陰さまで100話までつづることができた。そのコンセプトは、開発マン(開発ウーマン)における日常の出来事や悲喜こもごも満載のドラマであり、そこで出会った、額に汗する開発者へのエールでもあった。