ハズを組み込まないとうまくいかない
モノにもハズがある。
話題のドローンにはフライトコントローラが、ハイブリット車(HV)や電気自動車(EV)にはパワーデバイスがいずれも欠かせない装置・部品、ハズなモノである。HVは数百V/数十Aという大電流でモーターを制御するが、その制御半導体装置がパワーデバイスだ。そして、このHVやEVに欠かせないパワー半導体がますます市場を拡大させると、期待されている。
私は優位に仕事を進めようとするなら、そこには必ずハズを組み込まないとうまくいかないと思っているし、むしろ、そうあるべきだと考えている。
事業や商品を開発するだけでは、それを上回る新事業や新商品が現れたらすぐに追いつかれて抜かれてしまう。だが、仕事の進め方や事業、商品・製品の中にハズを組み込んでおけば、ハズはそう簡単には外せない(省略されない)ので事業や製品は強いものとなる。
相撲の話に戻ると、ハズ押しがうまい力士は多くが上位に出世するようだ。ハズ押しされた力士は体が浮き上がり、あれよと土俵を割ってしまう。
よく考えてみると、ハズ押しは非常に合理的な攻め技である。相手の身体に組み込まれるように手を筈の形にしてすくい上げることで、攻撃力が集中するのである。
だが、今どきの相撲界には左ハズや右ハズ、もろハズなどを駆使する名力士が少なくなったように思うのは私だけか。これは技量不足によることは否めないだろう。
それに、大形力士が台頭し技よりも体重で勝ち上がるような相撲も、見ていて面白くない。
会社を大きくすれば強くなると思っている経営者は多いだろう。そのような経営者は当然、ハズなビジネスなど考えることはない。
だが、大きくてもハズがなければ、それはもろいものだ。力士は少しのケガや体調不良で負けが込むようになり、会社は業績不調ですぐに倒産の危機に陥る――。
いかがだろうか。仕事にもハズがあり、そのハズがうまく組み込まれると事業や商品は強くなり、そう簡単に廃れることはないのである。
ところで、我が社のハズはどうかって? う~ん、それが問題なのだ。最近、「こんなはずじゃなかったのに」と思うことが多いのです。ハズカシイ……。