イラスト:ニシハラダイタロウ
イラスト:ニシハラダイタロウ
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 相撲の取り口の一つに「ハズ押し」がある。ハズは、親指を立てて他の4本の指をそろえて伸ばした手の形のこと。このハズにした手を、相手の脇の下や胸、腹などにあてがって、すくい上げながら押し出す技をハズ押しという。

 このハズは「筈(矢筈)」から来ている。筈は弓の両端にある切り込みのことで、弓に弦(つる)をつがえるための部位である。筈がなければ弦が動いたり、外れたりしてしまい、矢を飛ばすことができない。そして矢筈と弦とがよく合うところから、当然そうなるべき道理であることを示すという意味も持ち、例えば「知っているはず」「行くはずはない」などというのである。

 さて、私は仕事においてもハズがあると思っている。日常の仕事や事業を進める中で、ぴったり合って収まりのよい業務形態というか仕事術というか、それを「ハズな仕事」と言いたいのである。

 例えば「資格」はハズな仕事と言えるだろう。

 弁護士や弁理士は、法律や知的財産を扱う業務に必要な資格である。逆に、資格がなければ法律事務や知的財産権の出願代理などはできないわけで、まさにハズな仕事である。

 それから、建築物に施工される電気配電装置が正しく取り付けられているかを検査・管理する電気管理技能士資格もハズな仕事だ。この検査を受けなければ、建てた建築物に人が住むことはできない。