おとなしい仮面をかぶっているのではないか

 誤解を恐れずに言うと、私には、普段から目立たないようにすることで、変な人(突拍子もない変わり者)と言われないようにしているように見える。つまり、本当の自分は面白いことを言う人なのにそうではない、おとなしい仮面をかぶっているのではないかと思うのである。

 この、一見おとなしそうに見える人もアイデアを出すことがある。きっと、そのときには仮面を外し、素のままの、突拍子もない自分が表に出てきているのであろう。

 多くの人は、変わり者に見られたくないという防衛本能的な意識が故に、せっかくの能力が潜在的になってしまっていると、私は思う。それは「突拍子もない、変なことを言うな」と言われる(誤解される)ことを、ほとんどの人が恐れ、嫌悪感を抱いているからではないか。要するに、能力はあるのに、誤解されるのが嫌で仮面をかぶり、能力を潜在的にしてしまっているのである。

 ならば、潜在能力を引き出すには仮面を外す、素のままに振る舞えばいいということになる。ありのままに、言うなればスッピンの自分になれば、潜在しているアイデアが湧き出てくるのである。

 スッピンとは、化粧をしていない顔を意味する。しかし、ここでの化粧とは、顔にするものではなく、精神的なものに対してするものだ。良く見られようとする意識、それが心の化粧である。

 そして、この化粧を落とした途端、人の能力は顕在化する。つまり、潜在能力が発揮されるようになるのである。

 さあ、化粧を落としてスッピンの自分を見せよう。何も恐れず、何を言われようともアイデアを出せばよい。自分が楽しいと思えば、それは楽しいアイデアであり、つまらないと思えば、それはつまらないアイデアなのである。

 開発を共にする仲間がスッピンでアイデアを出し合えば、素晴らしいアイデアが集まるに違いない。

 そうして、その中から皆が面白いというアイデアを、これまた皆のアイデアを付加して、さらに面白いアイデアに昇華させれば、それはそれは素晴らしい新事業や新商品が生まれることだろう。

 ところで、私の潜在能力はどうかって? ははは、私はこの仕事を40数年しているのであるから、潜在にしても顕在にしても能力はもう枯れ果てた。
 だが、心も体もスッピンピンで健在でもあるのだ。へへへ。