心を解放して聞いてくれれば…

 新電力に参入しているある会社は、電気もガスもオールインワンで安くなるという仕組みでグイグイ売り上げを伸ばしているが、実は他にも売りがある。それは、飲食店や公共施設、学校などの施設で特に得になる仕組みで、聞けばビックリするほどの効果がある。この節約ノウハウが売りになっているのだ。

 これは特に飲食店、それも外食産業的なところで効果を発揮する。しかし、少々専門的な内容になることもあり、簡単には理解してもらえないことが、営業におけるネックになっていた。上手な営業マンならポイントを分かりやすく説明できるのでアッサリと売り込めるだろうが、ただ説明するだけでは聞く側が構えてしまうことが多く、ポイントが伝わらないということらしい。要は、心を解放して聞いてくれればすぐに分かるような話なのだが、それが難しいのである。

 この現状をどうしようかと、居酒屋でその会社のご担当と呑んでいたところ、呑むほどに酔うほどに「じゃあ、営業として行くのはやめて、その飲食店で大いに呑んで、酔っぱらった勢いで話をすればいいじゃないか」なとど、何とも乱暴というかふざけたというか、そんな答えになっていったのである。

 しかし、これがヒョウタンから駒だった。「それはいい。本当に酔っぱらうのは困るが、そんな感じで営業をしよう」と、本気で「呑みながら営業」に取り組むことになったのである。

 よく考えると、このやり方は的を射たものである。営業する側も、最初は客として行くのだから敷居が低い。そして、飲食店が理解すれば、大いに節約になって利益が増えるのだからうれしいに決まっている。最初からお互いに心を開いて話せば(呑めば)話はすぐまとまるのである。

 その昔、いや、今もそうだろうが、ビールやウイスキーメーカーの営業マンは、とにかく飲食店を回って自社製品のビールやウイスキーを、ちゃんとお金を払う客として飲み続けたのだそうだ。

 製品を売り込むのではなく、客として浴びるほど呑む。それを繰り返すうちにお店の方も贔屓(ひいき)にしてくれるようになり、その結果、そのメーカーの製品をたくさん買ってくれるようになるのだという。

 第4の三上たる呑上は、「名前がいただけない」と誰かが言ったので「ビズ呑み」ということになった。

 面白いことだ。呑めばのむほど面白いビジネスが始まるのだから、これからも、やはり呑むしかないのである(笑)。

 大いに呑んで、楽しいビジネスを創ろうではないか。