イラスト:ニシハラダイタロウ
イラスト:ニシハラダイタロウ
[画像のクリックで拡大表示]

 「開発顔(かいはつがん)」という、開発をするときに意識しなくてはいけない顔の在り方があると、私は思う。

 特別にニヤニヤしろとか、よそ行きの顔をしろとかいうのではない。開発の心構えというか姿勢をリードする、そのような表情を意識することが大切だと思うのである。

 では、開発顔とはどのような顔なのか。

 まず、大変そうなしかめっ面は違う。ヘラヘラと苦しいのをごまかそうとムリヤリ笑顔をつくるのも違うし、逆に、能面のように無表情なのもいただけない。

 開発顔とは、一口で言えば泰然自若。ゆったりと落ち着いてギラギラとしない平常心であることが顔に表れている、そんなイメージである。

 余計分かりにくくなってしまったかもしれないが、要するに、真正面を見据えてフラフラしない、周囲に安心感を与える顔とも言えようか。

 クライアント先でたまに、何かを言うと、首をかしげて疑うような表情をする人がいる。本当にそれで行けるのか、その技術でこれが解決できるのかと、一瞬、疑うようなしぐさを見せるのである。技術者に多いしぐさであるが、これをやられると、いっぺんにその場にいるものすべての人が不安になってしまう。

 時にはその矛先が私に向かい、私の言うことに疑いをかける人も現れる。もちろん私が間違っていたら謝るしかないが、まずは前向きに聞いてもらえないとガックリしてしまう。まあ、悲しみ嘆いて絶壁から飛び降りるようなことはないが、そうされると、かなり身にこたえることは確かだ(笑)。