イラスト:ニシハラダイタロウ
イラスト:ニシハラダイタロウ
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 開発とは、顧客のニーズに対応することである。お客様は何が欲しいのか、それを知って新しいサービスや新商品を提供することである。

 しかし、時には、顧客も知らない、あるいは気付かないことを提案するのもよいことだ。それも、お節介(おせっかい)と言われるくらいに、こちらから一方的に提供するのである。

 お節介とは、出しゃばって余計な世話をやくことである。従って、お節介をやくということ自体、最初はあまり好意的に受け取られることはない。しかし、顧客がそれまで知らなかっただけで、それをうれしいと言えば、それでよいのではあるまいか。

 特に、伝統的というか相当の歴史を持つ事業やサービスを展開している事業者には、このお節介が必要だ。昔からずうっと今まで、ほとんど変化のない中で、繰り返し繰り返し同じやり方をして来た事業者に対して、最初は何を言われようともお節介をするのである。

 最初はビックリして、中には拒否反応を示す人もいるのだが、慣れると、手のひらを返すように喜んでくれるようなこともある。

 例えば、夜の銀座の話である。いきなりで恐縮だが、二十年くらい前に私も驚くくらいのお節介システムが、夜の蝶(クラブやバー、キャバレーで客をもてなす女性)を喜ばせたのである。

 私は行ったことがない(本当だ。キリッ!)。しかし、その世界は多くの男性に愛されていて、今では、社長の奥様方のツアーもあるほど、働くお父さんの夜のオアシスとして、世界でもまれな高級社交場となっている。

 そこにハイテク勤怠管理(毎日の出欠を管理すること)システムが導入されているのをご存じだろうか。本当に、銀座のお姉さまたちは、そんなに古くからハイテク管理システムで営業しているのである。

 私は初期のころから知っているが、初めて聞く人は一様に驚くとのことである。まさか、銀座のママやオーナーがそれほど先進的な管理システムを開発していたのかとビックリするのである。

 まずは、このお節介システムが開発された経緯を説明しよう。