イラスト:ニシハラダイタロウ
イラスト:ニシハラダイタロウ
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 寂しい気もするが、最近、親の会社を継ぐ息子や娘が少ないとのことである。そして、その理由を聞くともっと寂しくなるのである。なんと、夜遅くまで働き、身を粉にして働く親の背中を見るにつけ、あんなことは自分にはできないと、諦めというのか自信がないのか、とにかく自分からギブアップ、降参してしまうらしい。

 それが悪いと言うのではない。せっかく親の働く背中を見たのだから、何か、そこに大事な教えというか、学びがあるのではないかと思うのだ。

 あるいは、せっかく一生懸命に働くのだから、親の方も、その背中の見せ方で子供に教えることもあったのではないか、そんなことを考えるのである。

 開発も同じようなことがある。同僚や先輩、あるいは上司の開発に向かう姿勢が大事であるということだ。つまらなそうに嫌々開発に向かう、そんな姿を見た人は、その人と一緒に開発をしたいと思うだろうか。

 開発に向かう姿をしっかりと見せること、それも背中で語ることが開発者の原理原則であると思うのである。

 反面教師という言葉がある。悪い見本として反省や戒めの材料となる有様(ありさま)のことである。

 どうしようもないわがままな人を見て、ああ、あんなことをしたら周りの人に迷惑が掛かるのだからやめようと思うように、人は、身の回りにいる反面教師から学び、自ら研さんして進歩向上するのである。

 その反面教師になぞらえて「背面教師」があると、私は思うのだ。なぜ背面と言うか、それは背面・背中で語ることに意味があるからだ。背中で語ることを、特に、開発を進めるリーダーになる人に知って欲しいのである。