最初に言っておけばよかったのに…

イラスト:ニシハラダイタロウ
イラスト:ニシハラダイタロウ
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 こうなると、両社の「共通の敵」はAさんであり、それまで面識のなかったB社とC社が「共同戦線」を張るという、何とも皮肉な提携話になってしまったのである。

 原因は明確だ。とにかく、Aさんの立ち位置がハッキリしなかった。最初に、「あなた方のためになること」と言えば良いものを、「安く作ってくれれば」という、自社の利益がミエミエの誤解を与えてしまったのである。

 後悔先に立たずとはこのことか。Aさんは、両社にとってうれしいことを申し上げると、最初に言っておけばよかったのに、結果として、コストダウンを強要するという、大きな誤解を与えてしまったのである。

 要するに、自分の立ち位置は中立であり、両者を優先して開発を成功させ、のちに自社も何らかの利益があるかも知れないと言えばよいものを、Aさんだけの立ち位置を優位にする意図と映ってしまったのである。

 さて後日談。その時は、大きなニーズとチャンスを逃したような格好になってしまったこの話。しばらく経ったその後で、両社はAさんの真意を知ることになり、3社で開発をスタートしたという。

 まさに結果オーライではあるが、立ち位置不明ゆえの事件として、3社はもちろん、私たちも肝に銘ずるべきことである。

 さてさて、私の立ち位置のことだ。私の立ち位置は明確で、コンサルタントの道をまっしぐら。中立公平、直球ど真ん中なのである。しかも、球威を増すためのトレーニングを欠かさず続けているのであるから大丈夫。これからも、しっかりと務めようと思うのである。

 えっ? でも最近、フラフラしているように見えるって? ははは、それは当たり前。私は年末から年始にかけて、ほとんど毎日、忘年会やら新年会が続くのだ。
 だから、この時期はいつも千鳥足なのである。(笑)