イラスト:ニシハラダイタロウ
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 一体、いつ頃からコスト重視と言うようになったのだろうか。私の印象では、少なくとも今から三十年くらい前、クライアントも今のように中堅中小から大企業まで広くお付き合いができるようになったあの頃は、あまり聞かなかったことである。

 それが今では、何かをしようというと、まず先に「コスト優先・相見積もり」と言うのである。もっと安いところを探せ、国内でなければ海外に行け、今までの付き合いは関係ないと、とにかくコストが先だ。いやはや、安いだけで顧客は喜ぶと妄信(むやみやたらに信じること)しているのではないかと思うくらい、コスト、コスト、コストと言うのである。

 しかしそれは、開発における原理原則なのであろうか。私は違うと思う。開発において、コストに関する原理原則とは、コストを気にしないことだと思う。

 気にしないという意味は、(部品を)調達する側ならば、調達する部品のコストよりも何倍も儲かる価格で製品を売れば原価は気にならないし、(製品を)買う側から言えば、高くても安くても、結局、うれしければ、原価なんて気にならないということだ。

 つまり、売り手も買い手も、入手した時に相手側の原価(コスト)がどれだけか、それが気にならなければいいのである。