イラスト:ニシハラダイタロウ
イラスト:ニシハラダイタロウ
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 悪いことではないが、社歴が長ければながいほど良いと考える人は多い。確かに、社歴が長いということは、それだけしっかりと経営をしてきたことだし、多くの艱難辛苦(かんなんしんく)を乗り越えて来た証でもある。

 それを否定する気もないし疎んずる気もない。申し上げたいのは、社歴が長いとか古いというただそれだけで、何の保証もないということだ。

 もう終わった話ではあるが、某米国大手証券・投資銀行は1850年の創設で、その社歴は158年間という長いものであった。なのに、それがアッという間に2008年に倒産したのである。世界経済の中枢と言われた会社が、アッという間に消えてなくなるのを、私たちはこの目で見たではないか。

 よく考えると、長い社歴というのは、それだけ様々なシガラミというかサビというか、酸化物や老廃物が蓄積しているとも言えまいか。

 もちろん、常に新陳代謝を繰り返し、新しい風が吹き込まれる仕組みを持っている会社もあるにはあるが、それはほんの少数で、多くの会社が長い間に溜まった堆積物に悩んでいるのではなかろうか。

 そのような会社の多くが、その悩みを解消すべく、今までの堆積物をどうやって取り除こうかと腐心しているのを見ると、何か無駄な努力をしていると思うのは私だけだろうか。

 いやいや、解決するのが無駄と言っているのではない。取り除くことが無駄、言い換えればしなくていいということだ。