田中 栄=アクアビット 代表取締役 チーフ・ビジネスプランナー
田中 栄=アクアビット 代表取締役 チーフ・ビジネスプランナー
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 社会が変われば、求められるビジネスも変わります。5年、10年先にどんなビジネスが求められるのか。それを考える際には、「メガトレンド」と呼ばれる世の中の大きな流れを読むことが重要です。

 かねて、最も重要なメガトレンドが「クラウド・コンピューティング」だと言われています。何か大きな出来事があるわけではないので目が向きにくいかもしれません。しかし、今コンピューティングの革命的変化、いや大いなる「地殻変動」がどんどん進んでいます。

 少し前まで「IT=パソコン」でした。それが最近ではスマートフォンやタブレット端末なども、ブロードバンドを経由したクラウド・コンピューティングの世界につながっています。テレビやカーナビ、家電なども当たり前のようにクラウド・コンピューティングにつながり始めました。クラウドとつながる機器の広がりは止まりません。

 ブロードバンドの特徴の1つは「常時接続」です。機器がネットワークと常につながることで、処理の大半はインターネットの向こう側にある「データセンター」と呼ばれる巨大なコンピューターで行われるようになります。これがものすごい大きな変化であり、地殻変動なのです。なぜなら、例えばスマートフォンは、ネットを通じて「スパコン」を持ち歩いているのと同じだからです。

 それがもたらす大きな変化の1つは、インターフェースとして「音声」が本格的に使えるようになることです。既に、「Google翻訳」は日常的なツールになっています。音声で言葉を理解し、さらにそれをさまざまな外国語に翻訳して、音声で返してくれるサービスが普通になってきました。パソコンで音声認識したり翻訳したりするソフトはありましたが、ほんの5年ぐらい前までは全く使い物になりませんでした。それがなぜこんなに急に進歩したのか? それは操作しているのはスマートフォンでも、実際に使っているのは「スパコン」だからです。処理スピードもデータ容量もパソコンとは桁違いであり、だから人間の言葉を理解したり、翻訳したり、音声で答えたりできるようになったのです。

 音声技術の開発はものすごいスピードで進化しています。既に、スマートテレビやスマートカー、スマート家電などへと広がってきています。「音声」が使えるようになり、面倒な操作方法を覚える必要がなくなってきました。高齢者や子供でも誰でも使えるようになり、コンピューティングの裾野が飛躍的に広がっています。これは「革命」です。