田中 栄=アクアビット 代表取締役 チーフ・ビジネスプランナー
田中 栄=アクアビット 代表取締役 チーフ・ビジネスプランナー
[画像のクリックで拡大表示]

 私はこれまでいろんな分野で新しいビジネスが出来ていく様子を見てきました。不思議なのは、技術力も資金もあって経験も豊富、そして経営者は高学歴と、何もかもそろっているケースほど、なぜかうまくいきません。

 むしろ成功しているのは、その分野は全くの素人というケースが多い。お金がないのは当たり前、その分野に必要な技術やノウハウさえ持っていないことも珍しくありません。

 1つ例を挙げてみます。私が最近注目している会社の1つに「テラ・モーターズ」というベンチャー企業があります。設立から6年足らずの会社です。スタートアップ時の社員数は10名程度、オフィスは4畳半のレンタルオフィスです。彼らは9万9800円からという低価格を強みに、電動バイクの製造・販売に挑戦を始めました。その後、わずか2年の間に資本金6億6210億円を集め、中国に続いてベトナムにも生産拠点を整えました。月産200台、取り扱い店舗は国内1420店(同)を数えるなど、快進撃が始まります。NHKスペシャルやワールドビジネスサテライト(WBS)で取り上げられるなど注目を集めています。

 この会社が特にユニークなのは、創業者が損害保険会社の出身であることです。つまり、自動車やバイク業界の経験どころか「ものづくり」の経験さえないのです。何かを作ったという経験を強いて挙げるならば、保険会社で企画部門に異動した時に保険の商品を作ったという程度。でもそこで「創ることは面白い」ということを感じたといいます。