田中 栄=アクアビット 代表取締役 チーフ・ビジネスプランナー
[画像のクリックで拡大表示]
田中 栄=アクアビット 代表取締役 チーフ・ビジネスプランナー
 「将来はこうなるだろうな」といった漠とした事象が分かっても、それが2018年なのか、2020年なのか、2030年なのか、いつそうなるのか分からない。だから未来予測はあまり意味がない──。こうした議論があります。私も「未来予測」は簡単ではないと思います。でも丁寧に見ていけば、高い精度で予測できることがたくさんあるのです。

 人口動態はその最たる例です。「2050年の世界の人口は97億人」という予測は、多少のズレはあるかもしれませんが、よほどのことがない限り当たるでしょう。人口が分かるということは、食料や水、資源、エネルギーについても高い確度で予測できるということ。やはり、「未来は予測できる」のです。

 ただし、こうした「自然に、必然的に“なる”未来」は全体の3割程度でしょう。残りの7割の未来は、「誰かの意志によって“する”未来」なのです。“する”理由や動機は問題ではありません。社会的使命、個人的趣味、出世意欲、金持ちになりたい…。何であろうと構わないのです。

 それが世の中のニーズに適うものなら、「結果」としてそれが未来になります。つまり、「未来はみずからの意志で創るもの」なのです。

 未来を予測していた。でも、大震災が起こったら? 戦争が起こったら? そうした疑問もあることでしょう。しかし、その時は予測を変えればよいだけの話です。その時点で改めて考え直せばいい。だって、私たちは神様や占い師ではないのですから。

 過去の延長線上にない新しいビジネスを考えるには、「バックキャスト」で考える必要があります。そのためには社会や経済、テクノロジーや産業、ビジネス、価値観やライフスタイルなど、さまざまな「前提」が必要です。そのために「未来予測」が必要なのです。

(c )Aquabit Corporation, All Rights Reserved.
[画像のクリックで拡大表示]
(c )Aquabit Corporation, All Rights Reserved.