「ユマニチュード」「ケア・テック・ベンチャー」「ヘルス・ラボ」「オンライン診療」…。健寿社会に向けた100のアクションを実施する「福岡100」をこのほど始動した、福岡市長の高島宗一郎氏に登場してもらった。(編集部)

武藤 福岡市では、人生100年時代を見据えた保健医療分野の新戦略「福岡100」を2017年7月に始動しました(関連記事)。この取り組みによって、どのようなことを思い描いていらっしゃるのでしょうか。

高島 簡単に言うと、少子高齢社会の中でも、持続可能な「長寿を心から喜べる街」を実現したいと思っています。これから人類がかつて経験したことがない少子高齢の時代に突入しますが、いまだにその問題に対する解はありません。この解を見つけ出すという、高い理念のもとに福岡100を立ち上げました。

 私たちが子どもの頃はむしろ“ご長寿バンザイ”が当たり前で、人びとの長寿を祝っていましたよね。高齢化は、いつの間に“問題”になってしまったのだろうと改めて考えるようになりました。

右が高島市長(写真:栗原克己、以下同)
右が高島市長(写真:栗原克己、以下同)
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 大きな問題の一つに、納税者は減り、受益者が増加していく構図の中で社会保障費が増大していくことが挙げられます。一方で、私は地域の公民館を継続的に回っていますが、市民の方々と話してみると高齢者も課題は理解されていて、自分たちの世代がこれまで通りのサービスを受けるために、若い世代の負担を増やしていいとは思っていません。ただ、皆さん、今までのスキームに限界が来ていることは見えてはいるものの、どうしても解が見当たらないのです。

 そこで具体的に、最新のテクノロジーと地域コミュニティーの力を融合して、「個人」と「社会」のどちらもが幸せになれる、持続可能なモデルを作っていかなくてはならないと痛感しました。そのモデルを作る際に最もやりやすいのが政令指定都市(政令市)なのです。

武藤 それはなぜでしょうか?