とにかくチャレンジ、走りながら修正する

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高島 分かりやすく言えば、県は自治体向けサービス、市町村は住民向けサービスを担当します。県は住民に直結する機会が多くないため、大局的にフィジビリティ(実現可能性)の観点から考えることが多い。市町村は住民に近い一方で、権限、規制、予算などが立ちふさがり、なかなかチャレンジが難しい環境にあります。

 そこで政令市の役割が大きくなってくる。なぜなら、県の権限と市の住民サービスの現場の両方をあわせ持っているからです。加えて、福岡市は国家戦略特区に指定されているため、さまざまな規制緩和が可能です。さらに、医療関係者とも良質な関係を築いてきました。例えば福岡市は、救急車の出動から病院搬送までの時間が日本でトップクラス。これは、市内の医療機関が多数加入している福岡市救急病院協会と福岡市との連携が上手く取れているからこその実績です。

武藤 福岡100では3つの視点と7つの柱を定めています。7つの柱ではICTを活用したかかりつけ医機能の強化やケア・テック・ベンチャーの促進など、デジタルヘルスに関わってくる項目も多いのですが、いざ走り始めてのご感想をお聞かせください。

高島 完璧になるまでスタートしないのではなく、とにかくチャレンジして具体的な事例を増やしていこうと思っています。走りながら修正を加えていく中で新しい発見もあるでしょうし、日進月歩でテクノロジーも変わってきますから。実際にその中からオンライン診療、ユマニチュードの実証実験を開始しました。本格展開に向け、新年度からさらにアクセルを踏んでいければと考えています。

 これらの取り組みは対外的なアピールにもなります。先日、「デジタルヘルスDAYS 2017」で福岡100について講演をして、講演後には非常にたくさんのICT関係者や医療関係者と挨拶を交わしました(関連記事)。例えば、フィリップス・ジャパンの方は電動歯ブラシの活用による口腔情報の取得について話されていました。「福岡は実証実験ができる場所」との認識が広がれば、さまざまな企業との関係が活性化していくはずです。

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 また10~11月にかけて「福岡100ケア・テックピッチ」と名づけたケア・テックのピッチコンテストを開催します(関連記事)。積極的に発信することによって民間企業のチャレンジを呼び込み、皆さんの実証実験の場としてほしい。そうすればより一層、プロジェクトの厚みが増してきます。

武藤 福岡100におけるオンライン診療の実証実験には私も参画させていただいています(関連記事)。先日、市長には実際の診療を見ていただきましたが、いかがでしたでしょうか。