今や多くの産業で話題に上るようになった「IoT(Internet of Things、モノのインターネット)」。地球上の面積の約7割を占める海も例外ではない。海上でも利用可能な高速ブロードバンド環境の整備をきっかけに、海の上でIoTを活用する動きが本格化している。

 実は、海の上こそIoT導入の必要性に迫られている。莫大な数量の国際貨物の輸送や漁業、海底資源の発掘など、様々な経済活動でイノベーションの創出や効率化が求められているからだ。海上で得られた情報を可視化し、陸上のIoT環境とリアルタイムに結びつけることができたら、世界のビジネスに大きなインパクトを与えることになる。それを具現化した姿は、まさに「全地球IoT網」と表現していいだろう。

 この連載では、船に高速なブロードバンド環境を提供する衛星通信技術や、IoTで安全性・経済性向上を目指す海運各社の挑戦、魚の流通モデルを変革するスマート漁業に向けた取り組みなど事例を通して、全地球IoT網がもたらす最先端技術や新ビジネスの未来予想図を描く。