前野 濱口さんは技術系の学部出身だから、論理側の教育を受けてきたと思うんですが、なぜ真ん中にいられるのですか。もともと素質があったんですか。

濱口 自分のことは分からないです。ただ、高校生の頃、ものすごく難しい数学の問題を解いていたときに、「何で解けたんやろ」と思い返すと、どうもガチガチにロジカルな思考のときには解けないし、かといって直感的に解けたわけでもない。「何か、こんな感じかな」とラフな思考で考えているときにひらめいて解ける感じがあった。それで「何となくこの辺がおもろいな」と。

前野 真ん中のスイートスポットにいる人を見つける方法はあるんですか。

濱口 この真ん中ゾーンにいる人を見つけたら、超ラッキーです。でも人口分布からするとすごく少ない。だから、現実的には、ロジカルタイプなのか、直感タイプなのかを判別して、ロジカルタイプの人は直感タイプ側へ、直感タイプの人はロジカルタイプ側にガイドをします。できれば、真ん中にどのくらい近いかも知りたいのですが、この方針が決まってしまえばスクリーニングはすごく簡単です。

濱口秀司(はまぐち・ひでし)<br>米Ziba Design社Executive Fellow、monogoto代表。大阪生まれ。京都大学卒業後、松下電工に入社。研究開発、全社戦略投資案件の意思決定分析担当などを経て、1998年米国コンサルティング会社Zibaに参画。世界初のUSBフラッシュメモリーをはじめとする数々のコンセプトづくりをリード。IDEA金賞など数々のデザイン賞を受賞。その後、パナソニック電工の新事業企画部長、同社米国研究所の上席副社長、米国のベンチャー企業のCOOを歴任し、 2009年Zibaにリジョイン。2013年より自身の実験的ビジネスデザイン・ファーム「monogoto」代表を務める。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科特別招聘教授。京都大学デザイン学特命教授。大阪大学医学研究科招聘教授。ドイツ「レッドドット・デザイン賞」審査員。イノベーション・シンキングの世界的第一人者(写真:稲垣 純也)
濱口秀司(はまぐち・ひでし)
米Ziba Design社Executive Fellow、monogoto代表。大阪生まれ。京都大学卒業後、松下電工に入社。研究開発、全社戦略投資案件の意思決定分析担当などを経て、1998年米国コンサルティング会社Zibaに参画。世界初のUSBフラッシュメモリーをはじめとする数々のコンセプトづくりをリード。IDEA金賞など数々のデザイン賞を受賞。その後、パナソニック電工の新事業企画部長、同社米国研究所の上席副社長、米国のベンチャー企業のCOOを歴任し、 2009年Zibaにリジョイン。2013年より自身の実験的ビジネスデザイン・ファーム「monogoto」代表を務める。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科特別招聘教授。京都大学デザイン学特命教授。大阪大学医学研究科招聘教授。ドイツ「レッドドット・デザイン賞」審査員。イノベーション・シンキングの世界的第一人者(写真:稲垣 純也)
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前野 では、見つける方法があるということですね。実際のスクリーニング方法を教えてもらえますか。

濱口 ええ。僕がZiba社の最終面接を担当していたときに作って実際に使っていたスクリーニング方法を紹介しましょう。分かりやすいように、ここでは100分間の面接を行うとします。時間を10分、40分、40分、10分と区切って、最初の10分は一般的な面接の導入で始めます。

 そして次の40分で、例えば、「飛行機に乗ったことあるよね。では、飛行機に乗っている人間を2種類に分類しましょう」という作業をしてもらいます。まずは僕が「乗務員と客」や、もう少しだけロジック性を持たせたいので「人間だけだから、犬はダメ」といった事例を示すんです。「立ってる人と座ってる人」という分類は「中腰の人」を分類できない。そうすると「座っている人とそれ以外」という分類になる。こうしてどんどん分類の条件を出してもらいます。

前野 ほう。