ウオッチと眼鏡、それぞれの分野でIoTに挑む野々上 仁氏(ヴェルト 代表取締役 CEO)と井上一鷹氏(ジンズ JINS MEMEグループ マネジャー)による対談の第3回。前回は、井上氏の手掛ける「JINS MEME」によって集中度を計測することで、人の幸せさえも可視化できるという話題で盛り上がった。
今回は、IoTによって引き出される眼鏡の可能性に話題が広がった。井上氏によれば、人が眼鏡をかける目的は、究極的には「モテ」と「長生き」に行き着くという。そこでは、質の高いものづくりが依然として重要になる。(進行・構成は高野 敦)
井上 あまり結論を急いではいけないんですが、眼鏡って最終的には「モテるためにかける」か「死にたくないからかける」か、そのどちらかしかないんじゃないか、と個人的には考えています。
これだけスマートフォンに機能を押し込んできた人類が、眼鏡型ウエアラブルデバイスも付けてくれと言われても、本質的にはしんどいのではないかと。だったら、今までは見えないから眼鏡をかけていたんだから、その延長で早死にしたくなかったらこの眼鏡をかけてくださいというぐらいにならないと最終的には残らない。ファッション性とヘルスケアのどちらかだと思っています。
ファッション性についてはジンズもまだまだだと思っていて、それをかけていることが単純にかっこよくないと、かけ続けてもらう理由にならないですね。
野々上 確かに、ファッションアイテムとしても、もう少し選択肢があってもいいですよね。フレームが軽いとか、女性用とか、いろいろあっていいと思います。
井上 今、ジンズは半年に1600種類ぐらいの眼鏡を作っているんです。
野々上 半年で?
井上 半年でそれぐらいは作ります。それでも足りないぐらいなので。
――野々上さんも追求されている「アナログとデジタルの融合」という話に通ずるところがありそうですよね。JINS MEMEは、機能だけではなくファッションアイテムとしてもまだまだ追求していきますよということですよね。
井上 そうです。眼鏡メーカーとしては、今のJINS MEMEもまだまだ満足していなくて。
野々上 フレームが大きいとか、そのあたりですか。