井上 そうですね。業界の人間からすると、「よくそんなのかけるね」みたいなことを言われてしまうんです。もっと、良い意味で普通の眼鏡にする開発を続けています。個人的には、かなり気に入っているんですけど(笑)。
クリエイティブでありながらアイコニック
野々上 普通の眼鏡と比べてしまうと難しいかもしれないですが、それでも集中度を計測するというコンセプトを、本当にシンプルかつ美しいデザインとして成立させていますよね。デザイナーは和田 智さん(SWdesign代表取締役CEO)ですよね。
井上 そうです。それは、社長(田中 仁氏)がAudiを好きだからという、その1点だけなんですが。僕もAudiは好きですが、お願いしたのは新しい時代を創るものになるから、クリエイティブでありながらアイコニックにもしてほしいと。ある意味では背反するような要素を1つにまとめてもらいました。
野々上 それでいてシンプルに。
井上 シンプルなんですけど、確かに眼鏡としてはこの形ってなかったんです。少し特徴があって、そのへんがアイコニックなんです。今はいろいろなカンファレンスに登壇する機会がありますが、例えば会場にいる100人ぐらいをパッと見て、「あ、あの人はJINS MEMEをかけている」ということがすぐに分かるんです。やっぱり、普通じゃなくなるとかけられないし、かといって普通すぎるのも困るしということで、そのバランスにはこだわりました。
野々上 眼鏡は顔の一部になるから、眼鏡だけで考えても仕方ないですし、一方で眼鏡単体でも特徴を出したいですし、微妙な世界ですね。
井上 そうですね。この金型をあと0.1mm削るかどうかみたいな、本当に微妙な世界ですね。和田さんもそこはかなりこだわりがあるんですが、その天下の和田さんに対して20代の金型技師が「そうはいっても、和田さん無理だから」とやり合うような、かっこいい世界でもあります。
野々上 眼鏡は、人の目の位置などによって似合う、似合わないが全く違うらしいので、誰にでも似合う眼鏡を作るのってすごく難しいと思います。そういう意味でも、JINS MEMEはよく考えられていると思いますね。