世界の大手義足メーカーが参加、ハイレベルの戦いに

 このパワード義足部門では大手義足メーカのアイスランドのÖssur社と、ドイツのOttobock社が合計5チームもエントリーしている。両社が既に製品化済みの義足を日常的に使っているパイロットが参加し、レベルの高い種目となった。

 さらにÖssur社のパイロットの1人は、正真正銘のアスリートである。大腿義足クラスのやり投げチャンピオンでもあるHelgi Sveinsson選手(アイスランド)だ。

 一方、Xiborgのパイロットは、日本の大腿義足クラスのやり投げチャンピオンである真野雄輝選手(古賀オール)である。テクノロジープロバイダーとしては、かなりぎりぎりの調整となってしまって練習時間が数日ととても短くなってしまったが、このやり投げ対決にも注目が集まった。

 次回は、身体の動きとテクノロジーの役割をサイバスロンの義足競技にそって書く予定だ。

遠藤 謙(えんどう・けん)
Xiborg 代表取締役
遠藤 謙(えんどう・けん) 慶應義塾大学修士課程修了後、渡米。マサチューセッツ工科大学メディアラボバイオメカニクスグループにて、人間の身体能力の解析や下腿義足の開発に従事。2012年博士取得。一方、マサチューセッツ工科大学D-labにて講師を勤め、途上国向けの義肢装具に関する講義を担当。現在、ソニーコンピュータサイエンス研究所アソシエイトリサーチャー。ロボット技術を用いた身体能力の拡張に関する研究に携わる。また、途上国向けの義肢装具の開発、普及を目的としたD-Legの代表、途上国向けものづくりビジネスのワークショップやコンテストを主催するSee-Dの代表も務める。2012年、MITが出版する科学雑誌Technology Reviewが選ぶ35才以下のイノベータ35人(TR35)に選出された。2014年ダボス会議ヤンググローバルリーダー(写真:谷山 實)