製品化に向けた登竜門に

 サイバスロンは、研究段階でのプロトタイプを製品化に向けて後押しをする登竜門の役目としても注目されている。

 例えば、事前に「Techcheck」というプロトタイプのチェック項目がある。「プロダクトに指をはさんで怪我をするような部分がないか」「ケーブルが見えていないか」「電源スイッチはすぐに手に届く位置にあるか」「安全回路はあるか」など、並みの大学の研究室内で作られたものでは到底パスできないような高い完成度が求められている。これも、すぐにでも製品化できるような完成度のプロトタイプを目指す姿勢であるといえる。

 Xiborgはパワード義足の部門に参加したが、プロトタイプの完成度もさることながら、競技に勝つためにはパイロットの身体能力や義足の習熟度も求められるとてもハイレベルな内容だ。今回の大会でこの種目に参加資格のあるパイロットは、膝や足首部を失った大腿義足ユーザーである。このため、膝部と足首部を用意する必要があった。

*2 以下のイラストはすべて、サイバスロン主催者の許可を得て競技ルール資料「Cybathlon Races & Rules v_2016-08-10」から引用した。競技ルールの詳細は同協議会のWebサイトにある資料を参照
パワード義足の競技イメージ(出典:サイバスロンの競技ルール資料より)
パワード義足の競技イメージ(出典:サイバスロンの競技ルール資料より)

 パワード義足の競技のコースを示す。

パワード義足の競技場概要(出典:サイバスロンの競技ルール資料より)
パワード義足の競技場概要(出典:サイバスロンの競技ルール資料より)

 4人のパイロットが同時にスタートし、6つのタスクをこなしゴールを目指す。それぞれのタスクに点数が割り当てられており、クリアしたタスクに応じて点数が加算され、ゴールしたときの合計点数で競う競技となっている。そのタスクの中身は、従来の義足ではなかなかクリアすることが難しいものばかりだ。