ロンドンの金メダリストが使用、スタンダードに

 ロンドンパラリンピックでT44/43クラスの100m走の金メダリストとなったJonnie Peacock選手(英国)が使用し、現在の男子短距離のスタンダードとなったのが、Össur社の「Cheetah Xtreme」だ*3

*3 Össur社の「Cheetah Xtreme」については、同社のサイトを参照
Össur社の「Cheetah Xtreme」(写真:(c)Kikuko Usuyama)
Össur社の「Cheetah Xtreme」(写真:(c)Kikuko Usuyama)

 今回のリオパラリンピックでも同選手は男子100m走で連覇を果たした。重量はあるが、彼は義足の反発力を最大限に利用し、これまでの義足アスリートの走り方を一変させた。

 T44クラスの100m走の現世界記録保持者である米国のRichard Browne選手や、リオパラリンピックのT44/43クラス100m走の決勝に進出したJarryd Wallace選手(米国)、Arnu Fourie選手(南アフリカ)、Felix Streng選手(ドイツ)など、多くのアスリートが使用している。

 2015年に男子走り幅跳びで8m40cmという世界記録を出し、今大会大注目のRehm Markus選手(ドイツ)もこの義足を使用している。日本人でもXtremeを使用している選手は多く、金メダルの期待の大きいT42クラスの山本篤選手は走り幅跳びでこの義足を使用しており、2016年に世界記録を樹立した。義足の横側が黄色に塗装されているのでとても目立つ。

「Xiborg Genesis」(写真:Xiborg)
「Xiborg Genesis」(写真:Xiborg)

 今回のリオパラリンピックでは、国産義足として私が代表を務めるベンチャー企業のXiborgが開発した「Xiborg Genesis」がデビューを果たした*4。重量はXtremeよりも若干軽く、後ろに大きく湾曲した形状が特徴である。

 今大会ではT44クラスの男子100m走と4×100mリレーに出場する佐藤圭太選手が使用しており、義足を使いはじめてから調子を上げ、今年に入ってアジア記録を更新した。

*4 「Xiborg Genesis」については、同社のサイトを参照

 公開されている各社の義足の情報と所感を以下にまとめる。

各社の義足の主な特徴
製品名 Flex-Foot Cheetah Springlite Sprinter Cheetah Xtreme Xiborg Genesis
開発企業 Össur社 Ottobock社 Össur社 Xiborg
重さ 512g 550~675g 918g ~800g
最大体重 147kg 125kg 147kg 100kg
取付高さ ~411mm 384mm~ 375~530mm 360~440mm
特徴 軽く足の回転を上げやすい構造 軽く、なおかつ反発を得やすいバランスのとれた義足重量があるが圧倒的な反発力を得やすい構造 大きな変形を許容し、大きな反発力を得られる。比較的大柄な選手が取り付けやすい形状をしている 反発力が大きく重量を抑えてある。日本人の体型(身長165~175cm)の選手が使い易い大きさと形状
* 実際には、選手に合わせて板バネを切って使用するため、あくまで参考情報にとどまる