マイコンやASIC、FPGAといったデジタルICにとって、クロック発振回路は必要不可欠な存在だ。クロック発振回路は、デジタルICの中で「指揮者」の役割を果たしているからである。集積した回路すべてが、クロック信号に同期して一斉に動き始める。クロック信号がなければ、デジタルICは機能しない。

 このクロック発振回路は、デジタルICが実用化された当初から、その動作をサポートし続けてきた。つまり技術自体はかなり古いものだ。もちろん、半導体プロセス技術の進化に合わせるように、必要に応じて改善されてきた。ところが最近になって、新たな課題が指摘されており、さらなる進化が求められている。ウエアラブル機器やIoT(Internet of Things)対応機器といった新しいアプリケーションが登場しているからだ。