中小・零細企業こそオープンイノベーション

 シリーズ「思考回路Ⅱ」の第1話では、オープンイノベーションの本質は「誰も知らなかった素晴らしい開発テーマ」がまず必要であること、と書きました。後出しジャンケンや類似競争開発ではない、新鮮で素晴らしい開発テーマでなければ、共創することはできないと考えているからです。

 そして今回のテーマは中小(零細も含む)企業のオープンイノベーションです。大企業も中小企業もイノベーションは必要不可欠ですが、特に中小企業はオープンにしなければならないと思うのです。

 「囲い込み」という言葉があります。もともとの意味は、英国の大地主による共有地の私的所有化が始まり、その時に土地を囲むように塀や石積みの土手を築いたのが始まりだそうです。

 この言葉が今、産業界で言われるようになってきましたが、その意味は、顧客を自社の都合の良いように仕向けることや、製造業では親会社が下請け協力企業を意のままにしたいという意味にも使われています。

 このように、顧客や協力企業を自社の都合がいいように囲い込むのは、企業の本能あるいは性(さが・宿命、習慣)かもしれません。

 顧客を自社の都合に合わせて囲い込み、他社より競争優位に立ちたいのは分かりますが、囲われるほうが黙って意のままに囲われてよいと思っているとしたら、それはいかがなものかと、私は思うのです。