今回もパワーデバイス・イネーブリング協会(PDEA)が主催する「半導体テスト技術者検定2級」の「設計製造」分野の問題を紹介する(本コラムの詳細はこちら、PDEAについてはこちら、半導体テスト技術者検定の教科書についてはこちら、検定の問題集についてはこちら)。

 今回紹介するのは、アナログ部品のテストなどに用いるアナログバウンダリスキャンに関する問題である。アナログバウンダリスキャンはデジタル回路のテストに利用するバウンダリスキャン方式をアナログに拡張したものであり、外付けのアナログ部品だけでなく内蔵するアナログ回路のテストにも利用される。

 今回の問題の難易度は★★★★(本コラムでは紹介する問題の難易度を★の数(難易度に応じて1~5個)で表しており、★の数が多いほど難しい)。システム分野の方にはなじみのあるバウンダリスキャンだが、アナログバウンダリスキャンまではご存じない方が多いかもしれない。よく考えて正解してほしい。また、解説もぜひ参考にしてほしい。

【2級 設計製造】【問題3】難易度:★★★★

次の文章の空欄( )に入る正しい言葉の組み合わせを(1)~(4)の中から選びなさい。

 図1は、アナログバウンダリスキャンの機能を用いて、外付けされた受動部品DUTのインピーダンスZDUTを計測する仕組みである。電流源IS(t)は、ピンAT1、( ア )の内部のスイッチS5、アナログバスAB1、( イ )の内部のスイッチSB1、ピンAPinを通してDUTに電流を供給する。ピンAPinの電圧VDUT(t)はスイッチSB2、アナログバスAB2、スイッチS6、ピンAT2を通して電圧計Mで計測される。電流源の出力抵抗をRS、アナログバスAB1の寄生インピーダンスをZp1、アナログバスAB2の寄生インピーダンスをZp2と表す。電圧計Mの入力インピーダンスが十分大きいとみなすと、DUTに流れる電流IDUT(t)は

 と表される。また、電圧計Mで計測されるVM(t)に対し、

 が成り立つので、DUTのインピーダンスZDUTを計測できる。

(1) ア:ABM  イ:TBIC  ウ:RS            エ:VDUT(t)
(2) ア:TBIC  イ:ABM  ウ:Zp1 + ZDUT   エ:IDUT (t)×ZDUT
(3) ア:ABM  イ:TBIC  ウ:Zp1 + ZDUT   エ:VDUT(t)
(4) ア:TBIC  イ:ABM  ウ:RS            エ:IDUT (t)×ZDUT

図1
図1
ABM: Analog Boundary Module
DUT: Device Under Test
TBIC: Test Bus Interface Circuit