今回のコラムは、パワーデバイス・イネーブリング協会(PDEA)が主催する「半導体テスト技術者検定2級(パワーデバイス)」の予想問題を紹介する(本コラムの詳細はこちら、PDEAについてはこちら、半導体テスト技術者検定の教科書についてはこちら、検定の問題集についてはこちら)。

 本稿で紹介するのは、半導体技術者検定2級(パワーデバイス)に関する問題の中から、パワーMOSFETのしきい値電圧である。しきい値電圧はパワーMOSFETの特性を決定するのに基本となる非常に重要なパラメータである。検定に合格するには、ぜひ正解しておきたい問題である。

 今回の問題の難易度は、★★★である(本コラムでは紹介する問題の難易度を★の数(難易度に応じて1~5個)で表しており、1★の数が多いほど難しい)。標準レベルの問題である。

【問題3】難易度:★★★

図1の構造のNチャネルパワーMOSFETのしきい値電圧に関し、以下の中から正しいものを選びなさい。

(1)ゲート酸化膜厚を1/2にした場合、P-ベース領域の不純物濃度を4倍にするとしきい値電圧はほとんど変わらない。
(2)外挿しきい値電圧VTH0は、しきい値電圧の理論値VTHより低い。(VTH0に関し注1および図2を、またVTHに関し注2を参照)
(3)温度の上昇とともに、しきい値電圧は増大する。
(4)ゲート電極材料をN+ポリシリコンからP+ポリシリコンに変えると、しきい値電圧は低下する。

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(注1)VTH0は、MOSFETの線形動作領域におけるドレイン電流IDSとゲート電圧VGSの関係の傾き最大領域を外挿し、IDS=0 (A)となるところのVGSである(図2参照)。
(注2)VTHは、図1のP-ベース領域の不純物濃度が均一である場合、チャネル領域の表面電位がP-ベース領域のフェルミ電位の2倍になるところのVGSである。