私には、政治の世界はよく分かりません。が、国境に壁を造ることを公約にしたり自国に工場を造ることを強要したりと、大国の横暴な振る舞いを見るにつけ、何が本当で何を当てにすればよいのか先が見えなくなるのが現状でしょう。

 しかし、どうしてそのようなことをするのか、その論拠は何かと考えますと、国を挙げての儲け主義という背景が見えてきます。

 「外国人の労働者が増えれば自国民の雇用が失われ、外国人が稼いだお金は出身国に持ち出されて国内に還元されない」「賃金が安い国に自国の産業が移転すれば、国内に落ちる税金がなくなってしまう」。要するに、自国さえよければそれでよいという「自国ファースト」がまかり通っているのではないでしょうか。

 政治の世界、まして東西南北の政治と経済のバランスがどの国にとってもよしとなるのは、極めて困難かもしれません。しかし、超大国が自国だけの利益を言いだしたら、規範も秩序もあったものではありません。一体、いつごろからこれほど国家のエゴが前面に出るようになってしまったのでしょうか。

 その一方で、ビジネスの世界を見渡しますと、企業間での共同体は極めて冷静に、自主的な規範を基にそのバランスを取っているようです。