今回も本コラムにて1/12に公開した記事と同じく、パワーデバイス・イネーブリング協会(PDEA)が主催する「半導体テスト技術者検定」の過去問題を紹介する(本コラムの詳細はこちら、PDEAについてはこちら)。

 今回紹介するのは、LSIの劣化の一因となるホットキャリアである。LSIの劣化の要因としては、ホットキャリア注入(HCI:Hot Carrier Injection)に加えて、NBTI/PBTI(Negative/Positive Bias Temperature Instability)、TDDB(Time Dependent Dielectric Breakdown)、エレクトロマイグレーション(EM:Electromigration)、ストレスマイグレーション(SM:Stress Migration)などがある。HCIは、使用中に動作速度が徐々に遅くなるという経年変化現象を起こすものであり、実際の使用環境でのLSI高信頼化の観点から留意する必要がある。

 本コラムでは、紹介する問題の難易度を1~5個の★の数で表しており、★の数が多いほど難しくなっている。今回の問題は検定での正答率が60%で難易度は★★★であり、正解すると検定合格にググッと近づく重要なレベルである。理解を深めるためにはぜひ解説も読んでいただきたい。

【問題6】難易度:★★★

 次の文章を読んで( )内に入る正しい言葉の組み合わせを(1)~(4)の中から選びなさい。

 ホットキャリアはトランジスタの( ア )の劣化や( イ )の増加をもたらす。ドレイン近傍の高電界領域に流れ込んだキャリアは、加速され大きなエネルギーを得て高エネルギーを有する( ウ )となり、( エ )中に注入、膜中に捕獲されて、トランジスタの特性を経時的に劣化させる。特に電源電圧が高いほど劣化が進むことが知られている。

 (1) ア:酸化膜厚  イ:リーク電流  ウ:中性子  エ:ゲート酸化膜

 (2) ア:しきい値電圧  イ:動作速度  ウ:ホットキャリア  エ:ドレイン

 (3) ア:しきい値電圧  イ:リーク電流  ウ:ホットキャリア  エ:ゲート酸化膜

 (4) ア:酸化膜厚  イ:動作速度  ウ:中性子  エ:ドレイン