DC-DCコンバーターやインバーターのスイッチング周波数の高周波化に向けた開発が活発になってきた。背景には2つの技術トレンドがある。

 1つは、次世代パワーデバイスと呼ばれていたGaN(窒化ガリウム)パワーデバイスが実用段階に達したことだ。GaNは、パワーデバイスの一般的な材料であるSiに比べると電子移動度が非常に高い。このため、高速動作に適する。Siパワーデバイスは数MHzでのスイッチングが限界だったが、GaNパワーデバイスであれば10MHzを超えられる。高周波化すれば、電源回路を大幅に小型軽量化できる。

 もう1つの理由は、無線電力伝送の開発が活発化していることだ。無線電力伝送では、電力を高周波スイッチングすることで、2つのコイルの間を高い効率で伝送する。スイッチング周波数には、6.78MHzや13.56MHzなどのISM(Industrial、Scientific、Medical)帯が使われるため、高周波化が急務になっているわけだ。

 ただし、スイッチング周波数の高周波化は一筋縄にはいかない。デメリットもあるからだ。それは、スイッチング動作による電力損失(スイッチング損失)が大幅に増大することである。