筆者の周囲でよく聞かれる英語のフレーズを、これまで9本紹介してきました(本コラム第8回第9回)。今回は、断定や決めつけの表現で、日本語とニュアンスの違いが大きいと思ったものを中心に説明します。

 英語では普通の表現なのに、日本語に直訳すると強い断定に感じることがあるようです。逆にいえば、日本語で強い表現でも、英語にすると弱まることがあります。さらに、話し手にとって失敗や弱点などの都合の悪いことを表現する際に、英語ではそれを直接言わず、相手を持ち上げて“前向き”な感じで対応する、という手段が使えます。

例文10:I think…

 当然ながら直訳すれば「私は…と考えます」であり、こういった書き方は日本語では割と強い自己意思の表示というニュアンスになることがあると思いますが、英語では断定度合いを弱めるように感じます。日本語でいう「これは私の個人的な考えですが」とか、場合によっては「たぶん」に近いイメージです。逆に断定する場合は、I thinkなどは一切付けません。

 例えば「I think we can offer very competitive price」というと「我々は競争力のある価格をたぶんご提供できると思います」というイメージ。「我々は競争力のある価格をご提供します!」というキッパリとした響きにしたいなら、I thinkを取って「We can offer very competitive price」ということです(関連記事:成功確率6~7割なら「できます!」と即答)。米系企業同士の間では、そういうキッパリとして自信に満ちた言い方をした方が評価や好感度が高まる傾向にあるようなので、ここは営業活動などに際しては重要なポイントになるかもしれません。

 断定を躊躇しない、というか、自分が強く信じている事は自分にとってはもはや意見ではなく事実であり、「…と思う」といちいち言う必要はないという感覚が根底にあるように思います。一方で、ある人が言った事が意見なのか事実なのかは、聞く側がそれぞれ自己責任で区別するしかないでしょう。

 もっとも、これは日本でも同じことなのかもしれません。