長く金型加工会社の代表を務め、現在は米国の自動車部品メーカーに勤務する著者が、ものづくりのスタッフについて米国と日本で見られるスタイルの違い、米国から見る日本と内側から見る日本のギャップを描きます。何気ない日常業務におけるひとコマから文化の差を見通す、柔軟な視点が秀逸です。
米NYX社Tooling Program Manager, International Operations
オフィスでよく聞くフレーズ・その3[第12回]
英語では普通の表現なのに、日本語に直訳すると強い断定に感じることがあるようです。例えば「私はこう考えます」は日本語では強い意志表示ですが、「I think…」は断定を避ける表現と取られることがあります。さらに、話し手にとって失敗や弱点などの都合の悪いことを表現する際に、英語ではそれを直接言わず、「G…
副業解禁の議論に覚える共感と驚き[第11回]
最近、日本のニュースサイトでサラリーマンの副業解禁が検討されているという記事を読んで、共感と驚きと両方の感想を持ちました。勤務先の利益に反する内容でない限り、勤務時間以外に何をしようと個人の自由であるはずです。筆者は副業を始める際、本業の上司に事前に伝えましたが、決して可否について相談したり許可を求…
大統領選前後、オフィスや街中で聞こえた会話[第10回]
「一体キミたちアメリカ人は何考えてる?」と米国人の同僚に冗談めかしてぶつけてみたら一瞬の沈黙。「あっ、この人トランプ支持だったんだ!」と初めて気づき、あわてて「まあ何にしても変化はいいことだよね」とフォローを入れてしのぎました。その後に別に同僚に同じことを言ったらまた同じ反応で、同じフォローを入れる…
オフィスでよく聞くフレーズ・その2[第9回]
出張などが重なり、原稿を執筆するのがすっかり遅くなってしまいました。と、いうようなとき、米国人はどのように言い訳をするのでしょうか。前回、「そば屋の出前」的なニュアンスのものなど6種類のフレーズについてお話しました。今回は引き続き、米国のオフィスの微妙な場面でよく聞かれる表現を3つ解説します。
オフィスでよく聞くフレーズから垣間見るメンタリティー[第8回]
You got it:このフレーズをよく使うタイプの人ほど一度依頼しただけではすぐに忘れてしまう傾向が見受けられ、安請け合いの匂いがプンプンするフレーズと言えるかもしれません。
日本人としての振る舞いを捨てるべきか、生かすべきか[第7回]
筆者の知る限り、米国では既存社員の多くは新入りにあまり優しくありません。総じて言うと、チームの一員として新しいメンバーに早く戦力になってもらいたいという意識よりも、逆に一個人として将来自分のライバルになるのではないかという警戒心の方が何倍も大きいように感じます。これも、正社員といえどもいつでもクビに…
一見にこやかに終わった議論の裏で[第6回]
本音と建前の使い分けという二面性。日本の社会を特徴付ける重要な要素の1つだと思われている方も案外多いのではないかと思います。しかし、私のイメージでは、その二面性は米国社会の方が比較にならないくらい強いです。
ルールや手順は守るためのものか[第5回]
以前、知人や取引先の金型メーカーで3次元CAD活用の相談に乗ることがよくありました。何年か後に再度訪問した際、かつて筆者が作成した書式や手順が、そのまま何も変わらずに残っていることをしばしば発見しました。筆者の書式や手順が完璧だったからと言いたいところですが、もちろんそんなはずはありません。
終身雇用と「At Will」―労働力の流動性[第4回]
中小製造業の海外進出[第3回]
私の経験では、「こういう事はできるか?」という質問に対して、成功の確率が6~7割と思われる場合、日本人のほとんどは「難しいなぁ…」と目をそらして首をひねってしまいます。しかし、逆に日本人以外の多くは相手の目を見据えて「できます!」と即答します。いいか悪いかは別として、聞く方もこれに慣れていますから「…
米国流の会話の呼吸[第2回]
世界には本当にさまざまな言語や文化がありますが、それらによってそれぞれ異なる「会話の呼吸」のようなものが存在します。よく日本語は単刀直入でなく遠回しな言い方が多いと言われますが、これは日本語に限った事ではなく、ほぼどんな言語でもネイティブスピーカー同士の会話では遠回しな言い方が意外と多く使われるよ…
円安シナリオのまぼろし[第1回]
米国にいて感じる事の一つに、「円安になると日本製の部品や金型などの価格が実質的に下がって海外からの受注が増える」というシナリオに対する違和感があります。以前はともかく、実はもう成り立たなくなっているのではないでしょうか。特に中小企業にとっては。経済の専門家のフリをするつもりは毛頭ありませんが、そも…