JETROサンフランシスコ、在サンフランシスコ総領事館、パナソニック、デロイトトーマツベンチャーサポートに在籍し、シリコンバレーに駐在する4人のメンバーが立ち上げた「シリコンバレーD-Lab」。このプロジェクトの目的は、シリコンバレーで自動車業界に起きているイノベーションを日本に伝えることだ。シリコンバレーで識者を訪ね、2017年3月、彼らが考える自動車業界への破壊的インパクトをまとめたレポートは10万ダウンロードを超え好評を得た(レポートのダウンロード先)。彼らの活動はすべてボランティア。シリコンバレーの熱気と、日本との温度差を目の当たりにし、いても立ってもいられず活動を始めた。4人がこれほどまでの焦燥感に駆られる背景を語ってもらった。(編集部)
桑島氏:読者の皆さんに向けて、まずはシリコンバレーD-Labを立ち上げた背景を含め、自己紹介をしてください。
下田氏:私は経済産業省からJETROサンフランシスコ事務所に出向、駐在の形で米国に来ています。経産省時代は、ITやヘルスケア、バイオといった、新しいイノベーティブな産業の推進に携わっていました。役所なので、どちらかというとルール、例えば自動運転車を走らせよう、ドローンを飛ばそうと思ったときに、どのような制度的な問題があって、それを変えていくための枠組みをどう作っていくかというような検討をしていました。
シリコンバレーに来て、今度は現場に出ました。実際に企業一社一社を支援して、ビジネスを進めるということです。JETROは、日本から来る企業を支援していますが、ビジネスで成功するのは本当に大変です。理由はいろいろあります。例えば、米国の商習慣に慣れてなかったり、シリコンバレーで戦うためのビジネスモデルができていないなどのパターンがあります。シリコンバレーで日本の企業が10億ドルクラスのビジネスを作るというのは本当に困難だと実感しています。
日本はものづくりの技術が高いと言われ、私もそれを世界で広めて稼ぎたいという思いがあったときに、このメンバーに会って「これからの日本の自動車産業を真剣に考えないと大変」という話で盛り上がりました。今までシリコンバレーに来た企業の希望に合わせて支援してきましたが、そんな受身な対応ではダメで、将来「倒産する」「仕事がなくなる」可能性があることを理解し、もっと死に物狂いでかかってこないとマズいと思うようになりました。死に物狂いで来た企業にシリコンバレーのメンバーがそのパワーに応じたサポートをする流れを作りたい、そのためにどうしたらこれが伝わるのかを考えたくて、このプロジェクトに参画しました。
私は、1件でも2件でもいいから、本気でシリコンバレーで勝負する企業の成功案件を作りたい、その確率を上げるサポートをしたいという思いで参加しています。