前回は自動車業界で始まるオープンイノベーションについて、日本特殊陶業 マーケティング本部マーケティング部部長の伊藤康生氏にお話を聞きました。今回は引き続き伊藤氏から、同社でのオープンイノベーションの取り組みについて、リンカーズ 執行役員で大阪支店長を務める北中萌恵氏が迫ります。

 従来は自前主義を基本に、既存ネットワークによる企業パートナーの活用がせいぜいだったという日本特殊陶業のマーケティング本部。改革のために、リンカーズをどのように使ったのかを聞く……の前に、編集部による「マーケティング」に対する基本的(?!)な質問からどうぞ。

日本特殊陶業 伊藤康生氏(奥)。(写真:堀 勝志古)
日本特殊陶業 伊藤康生氏(奥)。(写真:堀 勝志古)
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編集部:伊藤さんのご所属はマーケティング部ですが、プロモーションなどをされているのでしょうか。

伊藤氏:弊社の事業部は9つあります。例えば、「プラグ事業部」や「センサ事業部」、「産業用要セラミック事業部」などです。いわゆるマーケティング・コミュニケーションは各事業部でやっています。我々マーケティング本部は、事業部とは別に、主に現業以外の新しい事業、商品、サービスに関するマーケティングを担当しています。新規開発の手前、新規ニーズ開拓というんでしょうか。要するに、こういうことを会社に対してやった方がいいんじゃないのと提言する部門ですね。うちでは社内的にマーケティングと言っていますが、他社では、新事業企画部とか商品企画室とか、そういう名前のところが多いかもしれません。

 とにかく、我々はマーケティング部門ということで新しいことをやらなければならない。従来の弊社の場合、基本的には自前主義であって、自分のところの開発シーズを使ってお客様のニーズに応えながら製品を作っていくというスタイルでずっとやってきたんです。けれども、マーケティングとしても新しいやり方というのでしょうか、スピードアップもしなければならないし、今までのやり方とは違うやり方、外部リソースを使うという手法にチャレンジしてみようということになったんです。

 いわゆるオープンイノベーションの活動、外部リソースを使ってやっていきましょうという動きは、弊社内で研究部門も含めて、広がりつつあります。一般的に言われているように、市場が複雑化しているので1社だけでは多分、新しいものはできない。できないというか、しにくい。様々なものについてより複雑な構造が要求されるようになっています。あらゆる場面でインターネットとつながったり、複合事業というか、複合システムでないとなかなか事業化できなかったり、そういう時代に突入している。我々だけでなく、自動車メーカーもそうですけれど、いろんな業種といろんなことをやらないとできないという時代になっていると思います。