“秋の夜長”といえば読書。今回は読書好きを自負するリンカーズ 執行役員 大阪支店長の北中萌恵氏に、ビジネスに効く読書の方法を紹介してもらいます。最近の働き方改革と相まって時間が取れるという人も多いのでは。通勤電車で熱心にスマホゲームにいそしんでも、得られるものはそれほど多くないもの。手軽な時間の有効活用として、読書を見直してみては?

リンカーズ 執行役員 大阪支店長の北中萌恵氏。(写真:加藤 康)
リンカーズ 執行役員 大阪支店長の北中萌恵氏。(写真:加藤 康)
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 皆さんは、どんなタイミングで読書をしていますか?読書好きを自負する私ですが、実はあまり「ながら読み」は得意ではありません。本を読むときは、いつもまとまった時間を取ることにしています。週末、自分のスケジュールに「読書」という時間を設けて、自宅の定位置でじっくりと本の世界に旅立つのが定番です。

 これは忙しいビジネスマンにはあまり向いていない手法かもしれません。ここで強調したいのは「意識して時間を作る」ことの重要性です。本をたくさん読んでも、読了に対して達成感を覚えて終わり、では意味がありません。内容を実践に落とし込むまでの深い理解と、今自分の置かれている状況に置き換えての頭の中でのケーススタディの時間まで確保できないと、私にとっては本を読んだことにならないと考えています。

 一方、お気に入りの一冊を見つけるのは「スキマ時間」。仕事柄よく出張に行くため、乗り換え時間などの空き時間を見つけると、駅近くの書店によく立ち寄ることにしています。

 ここ最近、自分の仕事のやり方に影響を与えたと思える書籍が『伸びる会社は「これ」をやらない』(安藤広大、すばる舎、2017年)です。大阪支店を立ち上げて支店長を務める中で、組織を作っていくことや、関東・関西を含めたマネジメントについて頭を悩ませ、リーダーとは何をすべきなのか、常に考えを巡らせてきたからでしょうか。出張の合間に寄った書店でたまたま平積みになっていたこの本が目に留まり、手に取りました。周りにモデルケースとなるような先輩もおらず、ぶっつけ本番でマネジメントについて体験しながら学んでいる私にとって、とても胸に響くものでした。

 この本の特徴は、「やるべきこと」が書いてあるのではなく、「やらないこと」を中心に書いてあること。どの会社にも、経営戦略や営業戦略がありますよね。「戦略」とは“戦いを略す”、まさにやらないことを決めることなのだということが身にしみて分かりました。というもの、当時の私は、やるべきことは山のようにあって、いかにこの膨大なタスクを処理するか、生産性を上げるか、あれもこれもと同時進行でいくつものプロジェクトを進行させていて、パンク寸前だったのです。