前回に続き、今回もコーディネーターとして活躍するひろしま産業振興機構 経営基盤強化支援センター プロジェクトリーダーの鳥越義夫氏に、リンカーズ 執行役員で大阪支店長を務める北中萌恵氏がお話を伺います。最終回となる今回は、受注企業にとっての最難関「価格」についてです。自動車メーカーらが重視するというVA提案、VE提案の重要さについて、今一度考えます。


前回までの記事はこちら(第1回第2回第3回

リンカーズ 執行役員 大阪支店長の北中萌恵氏(以下撮影:森本勝義)。
リンカーズ 執行役員 大阪支店長の北中萌恵氏(以下撮影:森本勝義)。
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北中氏:受注企業さんにとっては、価格というのは大きい問題ですよね。日本の製造業に携わっている方々の技術というのは、性能・機能を高めるという方向に力を入れていて、価格を下げていこうという動きは弱いということなのでしょうか。

鳥越氏:「コストを下げる取り組み」自体は、ものすごく大切なことだと私自身思っています。受注側の企業さんにお願いしたいのは、発注企業さんから安値を求められたときに、指値で取る、取らないの決断をされる前に、例えばVA・VE提案を出して発注企業さんとやり取りをしてくださいということです。例えば材質とか、工法もあるでしょう…いわゆるエンジニアリングコストの議論です。今後は、そういうことで折り合う点を見つけることをやっていかないと、なかなかwin-winの世界にはならないでしょう。

 発注企業さんと受注企業さんでは、パワーバランス的に見れば受注企業さんが弱い立場になりやすいものです。そこで発注企業さんとのやり取りがきちんとできて、是々非々で
最終的なスペックを決め、コストを決め、というようなビジネスができるのが、理想的だと考えています。実際、「VA・VE提案を出してくれて、いろいろやり取りしてくれる受注企業さんの方がありがたい」とおっしゃる発注企業さんも、たくさんありますよ。

編集部:不勉強で申し訳ないのですが、VA提案、VE提案というのは何なのでしょうか。