人は「自分とは何か」を知りたい。
自分はこの地球で、いや、この宇宙でどのようにして生まれたのか。
私たちが暮らす地球、太陽系はどのようにして作られたのか。
太陽系、そして地球の姿は宇宙では普遍的なものなのか、
それとも類希な存在なのか。
その「解」を科学と技術によって得ようとしているのが天文学なのだ。
チリ、アンデス山脈の標高5000mにパラボラアンテナ66台からなる電波望遠鏡「アルマ(ALMA=Atacama Large Millimeter/submillimeter Array)」は、その「解」を求めるために、かつては実現不能と言われていた「サブミリ波(テラヘルツ波)」での観測を目指した。
波長3mmでは日本の電波天文学は大きく遅れる
電波望遠鏡はパラボラアンテナの口径が大きければ大きいほどよく見えるが、サイズには限界がある。その限界を破る観測方法のマジックが「開口合成法」だ。いくつものアンテナが受信した観測電波を、コンピュータで組み合わせて巨大な望遠鏡にする。このシステムを「干渉計」と呼ぶ。イギリスの天文学者、マーティン・ライル(1918〜1984年)がこの理論で1974年にノーベル物理学賞を受賞している。
野辺山では45メートルの巨大パラボラの完成後に、口径10mのパラボラ6台からなる干渉計(NMA=Nobeyama Millimeter Array)を建設。45mアンテナと合わせ7台となったため「レインボー」と呼ばれ、干渉計による観測で大きな成果を挙げていた。当然ながら次世代の干渉計はより高い性能を目指さなければならない。