日本の5G(第5世代移動通信システム)を推進する5GMF(第5世代モバイル推進フォーラム)のキーパーソンが、日本を含めた世界の動向を、研究開発や標準化、ユースケース、アプリケーションといった様々な観点から解説する「5Gのすべて」。今回は、三菱電機の取り組みを紹介する。
第5世代移動通信システム(5G)の特徴の一つが高速大容量通信である。これを実現するために、これまで移動通信には使われてこなかった100GHzまでの高周波数帯を利用可能にする技術開発が重要となる。三菱電機は、人工衛星などで実績のある多素子アクティブ・フェーズド・アレー・アンテナ(APAA:Active Phased Array Antenna)技術を5G基地局に展開すべく、研究開発を進めている。
5GはITU-R†勧告M.2083(IMT† Vision)にも記載がある通り、(1)モバイルブロードバンド化の進展、(2)重要インフラへの適用が可能な高信頼・低遅延通信、(3)大規模なM2M/IoT(Machine to Machine/Internet of Things)通信─と幅広いユースシナリオへの適用を想定している。例えばトラフィックが極度に集中する大規模イベントへの対応、マルチアングル/リアルタイム映像、4K/8Kデジタルサイネージ、自動運転、M2M機器連携などだ(図1)。5Gは我々の生活と様々な産業セクターにおいて新たな次元のサービスを生み出す鍵となる。
その実現に当たっては、既存周波数帯をLTE/LTE-Advancedの拡張技術(eLTE†)で使うと共に、高周波数帯を利用可能とするための新たな技術開発が重要である。高周波数帯には新たな無線アクセス方式(New RAT†)を導入し、低周波数帯と高周波数帯を組み合わせて利用することにより、図1に示した多様なユースシナリオに対応可能となる。
ここでは高周波数帯利用を可能とする無線アクセス技術、それに伴って高度化が必要となる光ネットワーク技術を中心に解説する。